500人に1人がコロナ死でも「株価爆上げ」米国の闇 怒れる教授が「GAFA+Xはヤバい」と警告する訳

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ギャロウェイ氏は教員であるだけでなく起業家でもあり、富裕層に属する「勝ち組」である。そんな彼が教育を重視するのには理由がある。それほど裕福でないシングルマザーの家庭で育った自分がいまの地位にまでのぼれたのは、カリフォルニア大学に入学できたおかげだという強い思いがあるからだ。

彼の生い立ちや大学入学の経緯、その後のキャリアについては、彼の2冊目の著作『HAPPINESS――GAFA時代の人生戦略』(東洋経済新報社)に詳しい。

これはビジネス戦略ではなく、彼の人生観や幸福感、家族について語ったものだ。その中で彼は、それほど裕福でも優秀でもなかった自分が大学教育を受けられ、またいくつも会社をつくってはつぶしても、やり直しができたアメリカ社会の寛容さへの感謝を表明している。

『HAPPINESS』を訳しているとき、私はギャロウェイ氏について「情」の人という印象を強く持った。ビジネスは合理的思考が重要と思われるが、物を買うことを含め、人が行動するのは心を動かされたときだということを、彼は看破している。

iPhoneやテスラを持つのは、有能で金持ちでかっこいいと見られたいからで、それが合理的な判断だからではない。GAFAを始めとする巨大テック企業は、人の「心」をコントロールすることに長けている。

だからこそ彼は大学がブランド化して富裕層にしか手が出ないぜいたく品となっていることや、人の感情をあおるヘイトや人種差別発言を放置しているSNSプラットフォームへの怒りを表明し批判する。寛容なアメリカ社会が巨大企業に乗っ取られ、失われつつあることへの強烈な危機感を持っている。いまアメリカン・ドリームをつかむ方法は「デンマークに移住すること」というくらいの危機感だ。

資本主義の「功罪」と政府の役割

『GAFA next stage』でのギャロウェイ氏のもう1つの重大な指摘は、資本主義における政府の役割である。

資本主義は生産性を向上させ、優秀な人材を集め、人々を協力させるという「功」がある一方で、倫理基準がない(儲かれば何でもアリになりやすい)、不平等(資本家と労働者では前者が圧倒的に有利)といった「罪」もある。

資本主義が暴走すれば、汚染物質(悪質な言論を含め)は垂れ流されるまま、労働者は搾取され、格差は開く一方……まさに現在のアメリカではないか。

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