500人に1人がコロナ死でも「株価爆上げ」米国の闇 怒れる教授が「GAFA+Xはヤバい」と警告する訳

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縮小

疫病で人が死にロックダウンされた都市を、なるべく他人と接しないよう食品をデリバリーする人々が走っている。国民の500人に1人が亡くなった。それでも株価は上がり続けるという、薄気味悪い現象が起きていた。

ロックダウンで、たとえばアマゾンとネットフリックスの収益が増加するのは当然と思われるかもしれない。しかし経済活動の縮小という激しい逆風から逃れられているわけではない。
同じように、ネットショッピングの増加でペイパルやショッピファイは恩恵を受けるだろう。しかし買い物をするにはカネ、仕事、そして楽観が必要だ。パンデミック中には足りなくなるものばかりではないか。
倒産が急増し、移動も制限される中で、高級自動車メーカーであるテスラの株価が上がる世界とは何なのか。これは中央銀行の政策でも、経済の現実と市場を切り離した新種の財テクの結果でもない。
私たちが目の当たりにしているのは、少数のアメリカ企業による支配の始まりだ。
(『GAFA next stage 四騎士+Xの次なる支配戦略』より)

加えて大統領選の大混乱。世界最大の経済大国、軍事大国、自由と人権の国、最先端の科学技術を持つ国……のはずのアメリカが、なぜそんな状況におちいったのだろうか。

大企業と富裕層に取り込まれたアメリカ

ニューヨーク大学教授のスコット・ギャロウェイ氏に言わせると、アメリカは以前からすでに病んでいた。その弱みをウイルスという微小な敵に突かれた結果、病状が悪化したのだ。

ギャロウェイ氏とは『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』(東洋経済新報社)の著者である。

彼はその本の中で、これらの巨大企業を経済繁栄のリーダーではなく、「ヨハネの黙示録」に出てくる災いをもたらす四騎士になぞらえ、禍々しいものととらえて警鐘を鳴らした。これら巨大企業は税金を逃れ、プライバシーを侵害し、雇用を破壊する……行き着く先は少数の超金持ちが、圧倒的多数の農奴を支配する社会であると。

2021年12月、その続編となる『GAFA next stage 四騎士+Xの次なる支配戦略』が刊行された。これは前作をパンデミックの時代に合わせてアップデートしたものだ。

アメリカでは大企業支配により、政府の弱体化、科学軽視、公益よりも金儲け優先という風潮が広がっていた。新型コロナの感染者が爆発的に増えたとき、危険な仕事は貧困層に押しつけられ、一部の国民はマスクをつけるという、ささいな不便さえ受け入れようとしなかった。ウイルスが蔓延するのにきわめて好都合な環境だったと、著者は言う。

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