TBSの「Netflix独占配信」に透けるテレビ局の憂鬱 Paravi不発で方針転換、看板ドラマで異例の策

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TBSは看板ドラマ枠「日曜劇場」のドラマを、ネットフリックス、ディズニープラスに配信し始めた。今後も300億円規模の予算で、世界展開の拡大を狙う(撮影:今井康一)

『イカゲーム』『愛の不時着』『梨泰院クラス』

ネットフリックスでの世界配信を起点に、人気が高まっている韓国ドラマ。これらを追うように、日本を代表するテレビ局が全世界配信への意識を強めている。

10月6日、TBSは現在放送中で看板ドラマ枠である日曜劇場『日本沈没ー希望のひとー』を放送の3時間後にネットフリックスで配信すると発表した。

看板ドラマでは異例のケース

テレビ局が地上波で放送中のドラマを、自社が運営参画する動画配信サービスへ展開することは一般的だ。また、ネットフリックス配信を前提にしたドラマ制作なども存在する。しかし、日曜劇場のような看板ドラマを他社サービスへ放送と同時期に配信することは、極めて異例だ。

ネットフリックスは世界190カ国以上、2億1360万人もの会員がおり、その影響力は計り知れない。自社コンテンツをネットフリックスで配信することで、日本国内だけではなく全世界へ一括して届けることができ「今までは(各国のローカルのテレビ局や動画配信サービスへ)1カ国、1カ国売っていたのに対して、ネットフリックスに販売すれば手間が少ない」(キー局幹部)というメリットもある。

TBSはアメリカのディズニーが運営する「ディズニープラス」にも、2021年7〜9月に放送したドラマ『TOKYO MER~走る緊急救命室~』を配信。外資プラットフォームへのコンテンツ供給を拡大させている。

こうした外資プラットフォームへのコンテンツ供給から透けて見えるのは、TBSをはじめとする日本の各テレビ局の苦しい立場だ。

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