TBSの「Netflix独占配信」に透けるテレビ局の憂鬱 Paravi不発で方針転換、看板ドラマで異例の策
ネットフリックス同様に、2018年4月からTBSは出資する動画配信サービス「Paravi(パラビ)」を通じて定額型動画配信(SVOD)を行っている。2020年9月、ネットフリックスは日本国内の会員数が1年で約200万人増加し、国内会員数500万人の突破を発表した。その一方で、Paraviは「依然として会員数100万に達していない」(テレビ局関係者)という惨状だ。
TBSとしては、Paraviが順調に会員数を獲得できていれば、キラーコンテンツになり得るドラマをライバルであるネットフリックスへ供給することはありえない。外資プラットフォームと手を結ぶのは、こうした動画配信サービスでの遅れと裏返しでもある。
現実味の薄いキー局の連携
現在、「(動画配信サービス全体の)会員数増加は依然続いているが、そのペースは確実に鈍化している」(動画配信サービス関係者)との声も聞こえる。ネットフリックスを含め、今後は成長スピードが鈍化し、パイの奪い合いという競争の激化が予想される。
そんな最中、いまだに存在感を示せていないサービスがここから挽回を期すことは困難だ。ある民放キー局首脳は「(巨大資本を抱える)ネットフリックスのようなグローバルプラットフォームと伍して戦うことは不可能だ」とこぼす。テレビ局がネットフリックスなどと戦う道を選ぶのであれば、現在はテレビ局ごとにバラバラの定額動画配信サービスを、ある程度ひとまとめにすることが条件とも言える。
しかし、同じテレビ局でも日本テレビ傘下Huluのように、会員数が順調に伸びているサービスもある。全社が一致して定額型動画配信サービスを行うことに現実味は薄い。「(他社サービスと)合併や連合する可能性は否定しないが、現時点ではどこかと一緒にやることは考えにくい」(前出の民放キー局首脳)のが実情だ。
そのため今後はTBSのように「動画配信の競合」という立場から、コンテンツ供給を行う「パートナー」へと舵を切るテレビ局が増えることが予想される。実際、フジテレビが主幹事を務める人気アニメ「四畳半神話大系」の続編「四畳半タイムマシンブルース」も、ディズニープラスで配信されることが決定した。
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