TBSの「Netflix独占配信」に透けるテレビ局の憂鬱 Paravi不発で方針転換、看板ドラマで異例の策

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TBSもまた、世界を念頭においた施策が続々と控えている。2022年3月には「海外戦略の新会社」を設立する予定で、300億円規模のコンテンツ制作予算を用意する。新会社が制作するコンテンツは地上波テレビでの放送などを念頭におかず、当初から世界展開を想定して制作されるようだ。

TBSはネットフリックス向けに新作3本を世界配信、うち2本はネットフリックス独占配信だ(提供:ネットフリックス)

ネットフリックス向けにはすでに、恋愛リアリティ番組「未来日記」やオリジナルドラマ「離婚しようよ」などを制作することが決まっている。他にも、ハリウッドの大手制作会社との共同制作や「愛の不時着」を制作した韓国企業との提携、2023年には日本最大級の新スタジオを建設するなど、各方面からコンテンツ強化に余念がない。

狙うは配信権の高額化

今後の焦点となるのが配信権の高額化だ。現状ではネットフリックスをはじめとする動画配信プラットフォームが圧倒的立ち位置を誇っている。TBSのコンテンツは世界的な実績に乏しく、現在配信されている「日本沈没」に支払われる金額も物足りないものだと見られる。

そのため今後TBSに求められるのは、外資系動画配信サービスが高額な配信権を支払ってでも手に入れたい、と思うコンテンツを作り出すことだ。ここで冒頭の韓国ドラマのように世界的ヒットを生み出せば、販促費などが多く必要な動画配信プラットフォームを自前で運営するより、大きな収益と存在感を得られる。

しかし、現在配信されている「日本沈没」は、ネットフリックスのドラマ関連で日本の週間ランキング10位に一度ランキングしたのみ。世界TOP10はおろか、その後は日本でも週間TOP10に入れていない。

外資の動画配信サービスと協調する動きを強めるテレビ局。「”世界水準”を見据える」と謳うTBSのコンテンツは世界で受け入れられるのか。粒揃いの世界的コンテンツたちとの戦いが始まる。

井上 昌也 東洋経済 記者

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いのうえ まさや / Masaya Inoue

慶應義塾大学法学部政治学科卒業、同大メディア・コミュニケーション研究所修了。2019年東洋経済新報社に入社。現在はテレビ業界や動画配信、エンタメなどを担当。趣味は演劇鑑賞、スポーツ観戦。

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