日米間で大きな差が見られるのは、サービスの価格である。
アメリカのサービス価格(エネルギーサービスを除くサービス)は、図2に示すように1970年代から現在に至るまで、ほぼ一貫して上昇を続けている。
注目すべきは、1995年以降も上昇が続いていることだ。
工業製品価格が上昇しないのにアメリカの消費者物価が上昇するのは、サービス価格が上昇しているからである。
ところが、日本のサービス価格は、これとは全く異なる動きを示している。
1990年代中頃までは顕著に上昇したが、それ以降は頭打ちとなり、その後はほぼ一定になった。消費税の影響を考えれば、低下したことになる。
アメリカのサービス価格が1990年代以降も上昇し続けたのとは、極めて対照的な動きだ。
日本の消費者物価におけるサービスのウエイトは、1万分の4954だ。これは、「生鮮食品を除く財」のウエイト4650より大きい。
それだけのウエイトを持つサービス価格の動向に上で述べたような差があることが、日米間の物価動向の違いを生んでいるのである。
アメリカでは高度サービス産業が成長
では、アメリカでサービス価格が1995年以降も上昇を続けたのはなぜか?
それは、付加価値の高いサービス産業が成長したからだ。
そうした産業の1つである「金融保険、不動産賃貸」について、付加価値の推移を見ると、図3に示すように、顕著な成長を示している。
製造業の付加価値がほとんど増えていないのと対照的だ。
図3は、図2と似た形をしていることが注目される。
付加価値の高いサービス業が成長して、そのウエイトが高まれば、サービスの価格が全体として上昇することを示しているのだ。
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