1本300万円のウイスキー「山崎55年」が売れる訳 価値観の差の見極めがビジネスチャンスを生む

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なぜなら、これからの中小・ベンチャー企業の活路は、大手の大量生産品にはない「新しい価値」を持ち、「高値で売れる」商品やサービスにあるからです。そして、その最大のターゲットは、富裕層というレベルかどうかはともかく、ある程度お金を自由に使える層になるはずです。

大量生産より高額で売れる価値あるものに需要

まとめると、「価値観の差」で利潤を生むためのポイントは、幅広い文化に触れつつ、それぞれの文化の「普通」を把握することです。たとえその層が今の自分や自社から遠い位置にある場合でも、できるだけその場に足を運び、人と触れ合い、対話するなどして、理解を深めようとする努力をするべきでしょう。

ちなみに、「価値観の差」を知る手っ取り早い方法は、「その文化の中にいる、別のバックボーンを持つ人」の話を聞くことです。

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コロナ禍の現在ではまだまだ難しいですが、以前の私は海外旅行をするとき、その地で少なくとも10年以上暮らしている日本人を探してガイドをお願いするようにしていました。日本人が見るとそうではない現地の「普通」を教えていただけるので、「価値観の差」を見つけやすくなるからです。

現地人のガイドさんではこうはいきませんし、その国が好きで移住したばかりの日本人では、いいところ、刺激的なところばかりが目につく段階で、日本文化の「普通」と冷静に比較できる視点が身についていない可能性があるのです。

別所 宏恭 レッドフォックス株式会社 代表取締役社長

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べっしょ ひろゆき / Hiroyuki Bessho

1965年、兵庫県宝塚市生まれ、西宮市育ち。横浜国立大学工学部中退。独学でプログラミングを学び、大学在学中からシステム開発プロジェクトなどに参画。1989年レッドフォックス有限会社(現レッドフォックス株式会社)を設立し、代表に就任。

モバイルを活用して営業やメンテナンス、輸送など現場作業の業務フローや働き方を革新・構築する汎用プラットフォーム「SWA(Smart Work Accelerator)」の考え方を提唱。2012年に「cyzen(サイゼン/旧称GPS Punch!)」のサービスをローンチ、大企業から小規模企業まで数多くの成長企業・高収益企業に採用される。著書に『ネクストカンパニー 新しい時代の経営と働き方』がある。

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