異業種から「葬儀社」へ転身の男性が得たやりがい どのようにして「葬儀のプロ」になったのか

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写真関連業から葬儀社へ転職した野口さんが、この業界へ転職を志した理由とは……?(写真:hichako/iStock)

葬儀という仕事は、大切な家族を亡くして悲しみに包まれている遺族などを顧客とするため、精神的にも肉体的にもとても大変な仕事だが、葬儀社に新卒で就職したり、他業界から転職する若者は少なくない。そして、葬儀の仕事にやりがいを感じて葬儀のプロとなり、誇りを持って働き続けている。彼らはいったい何に魅力を感じてこの仕事を選び、続けているのか――。28歳のときに他業界から葬儀業界に入った方に話を聞いた。

写真関連の企業から転職

専門葬儀社大手のセレモア(東京都立川市)葬祭営業課の野口直輝担当課長(46歳)は、28歳のときに他業界からセレモアに転職し、葬儀業務に18年間携わってきた「葬儀のプロ」だ。また、直近8年間売り上げ1位をキープしているトップセールスマンでもある。

野口さんが転職して葬儀の仕事を志したのはなぜか。そして葬儀のプロ、トップセールスマンになるためにどのような努力をしてきたのだろうか。

野口さんは、高校を卒業後、両親が美容師であることから美容専門学校に入学。美容師には向いていないと感じたことから、卒業後は写真関連企業に就職。働き始めて7年経った頃から、デジカメの登場で写真関連業の先行きにとても不安を感じ、転職を考え始めた。

その頃、祖母が他界。その時の葬儀社の担当者の仕事ぶりを見て、自分も葬儀の仕事に従事したいと思った、という。

「私も親族も、葬儀担当者の接客に感動しました。感じがすごく良い方で、私たちが心配していることなどを、丁寧にわかりやすく説明してくれました。そのおかげで、私たちは何の心配もなく祖母を送ることができました。

私は、おばあちゃん子でもあったので、うれしくて余計に感動したのかもしれません。それで、私も不幸があった方たちに、そういう感動を与えたいと思いました」

野口さんの同級生がセレモアに勤めていたことが縁となって、入社することになった。

同社の葬儀を施行・進行する葬儀業務職の職階は、社員、副主任、主任、係長、課長と細かく分かれ、携われる業務も役職により異なる。野口さんは、葬儀のプロ、トップセールスになるために、会社が行う研修以外にどのような勉強や努力をしてきたのか、わかりやすいように同社の職階に沿って話を進める。

入社後まずは社員として葬儀業務に携わる。具体的には、「葬儀執行における執行責任者のサポート、社内研修の参加、火葬許可証申請手続き、ご遺体に対するご処置とドライアイスのお手当および状態の確認」などである。

葬儀を執り行えるようになるためには、宗教、宗派ごとに異なる葬儀方法や地域の風習など、覚えなければならないことがたくさんある。例えば、仏教と一口に言っても浄土宗、真言宗、日蓮宗など宗派によって、作法が異なるためその1つひとつを漏れなく覚えるのはかなり大変だ。

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