日本のアパレルはアジアで大勝利できるか 「ユニクロ」「MUJI」に続くカギは、ネット戦略

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AWCGでは、5年後の目標を「売上高150億円、その内訳はネットが80%、店舗は20%」と掲げる。だが、住友商事から出向する関根伸哉氏は「東南アジアのファッション系通販サイト最大手のZalora(ザローラ)が、初年度の売上高約60億円、2年目が約200億円だった。そのことを踏まえると、この目標は「とりあえず」であり、超えたい。それぐらい大きなマーケットがある」と見る。

店舗とウェブで東南アジア開拓の基盤を構築

アパレルウェブと住友商事は、AWCGが運営するセレクトショップ「ジェイランウェイ」でその手応えをつかんでいるようだ。

実は同店がシンガポールにオープンしたのは2012年の10月。同国のショッピングの中心地オーチャードエリアにある商業施設「プラザ・シンガプーラ」の1階、エントランスの真ん前に姿を現した店舗(約340平方メートル)は、1日約7万人に上る来館者に、大きなインパクトを与え続けている。

日本ブランドを集積したセレクトショップ「JRunway」。同ブランドを運営するAWCGの、関根伸哉氏(左)と田野好彦氏

現在、店舗での年間の売上高は約2億円ほどだ。だが、シンガポールに住む約1100人を対象に行ったインターネットによる知名度調査では、37パーセントが知っていると答えた。これはH&Mとザラの82パーセント、GAPの76パーセントには遠く及ばない。また、日本のブランドとして成功しているユニクロの75パーセント、無印良品の69パーセントなどにも及ばない。だがその他のブランドや店舗のほとんどが5パーセント以下と低迷する中では、健闘しているといえそうだ。

フィリピン人のブロガーを起用したカタログを店舗で配布。シンガポールを起点に、他の東南アジア各国での知名度向上も目指す

すでにAWCGの親会社アパレルウェブが得意とするウェブを活用したマーケティングで、人口500万人台のシンガポールで、約1万5000人のメルマガ会員、26万人のフェイスブックページのファン数を獲得。周辺国のファッションブロガーを起用したキャンペーンも実施したことで、マレーシアでも知名度が高まっている(同調査で27パーセント)。

「何もないところにEコマースサイトをオープンするのは厳しい。一定の知名度を得て、メルマガ会員やフェイスブックページのファンを獲得したことで、サイトをオープンし、周辺国に事業を拡大していくための基盤ができた。今後は、シンガポールだけでなく、マレーシア、インドネシア、タイにもショップを増やし、各国のお客様に店舗とサイトを行き来してもらえるようなオムニチャネルを展開していきたい」(関根氏)という。

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