中国家電大手「ハイセンス」、海外事業躍進の背景 3年後には海外売上高が国内売上高を逆転も

✎ 1〜 ✎ 694 ✎ 695 ✎ 696 ✎ 最新
拡大
縮小
海信集団は17年前から海外事業の展開を加速してきた。写真は2021年10月の広州交易会に出展した海外バイヤー向け展示ブース(同社ウェブサイトより)

中国の家電大手、海信集団(ハイセンス)の海外事業が好調だ。同社の2021年1~9月期の海外売上高は526億元(約9410億円)と、前年同期比38%の大幅な伸びを達成した。

その結果、1~9月期の総売上高に占める海外比率は42%に上昇。海信集団の賈少謙総裁(社長に相当)は10月20日に開催したイベントで、「海外売上高は3年以内に国内売上高を超える可能性がある」と語った。

海外事業を牽引するのは傘下の2社の上場子会社だ。その1社の海信視像科技(ハイセンス・ビジュアル・テクノロジー)はテレビなどの映像機器を、もう1社の海信家電集団(ハイセンス・ホーム・アプライアンス・グループ)は冷蔵庫やエアコンなどの白物家電を主力にしている。なかでも海信視像科技は、2021年1~6月期の海外売上比率が57.6%に達し、すでに国内売上高を上回っている。

中国の家電大手のなかで、海信集団は早くから海外事業の拡大に力を入れてきた1社だ。同社の董事長(会長に相当)を務める周厚健氏は、17年前の2004年に「われわれの将来の成長機会は主に海外市場にある」と発言し、海外展開の加速を号令。海信集団は今や50カ所近くの研究開発拠点や生産拠点を海外に構えるまでになった。

2018年に東芝のテレビ事業を買収

特に近年の海外事業の急成長は、外国企業のM&A(合併・買収)によるところが大きい。2018年にヨーロッパの調理家電・白物家電大手のゴレニアを傘下に収め、同じ年に日本の東芝のテレビ事業も買収した。

「M&Aは事業や地域基盤の拡大だけでなく、海信集団の技術や製品分野の弱点を補強するための重要な手段だ」。10月20日のイベントでメディアの取材に応じた賈総裁は、M&A戦略の狙いについてそう述べた。

本記事は「財新」の提供記事です

もっとも、海外事業のさらなる成長には課題もある。賈総裁は、目下の事業環境について次のように語った。

「2020年以降、原材料価格の値上がりが続いて当社の利益を圧迫している。さらに、新型コロナウイルス流行の影響で(製品や部品を輸出するための)海上輸送が逼迫し、国際物流コストが高騰していることも、海外事業の頭痛の種だ」

(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は10月21日

財新 Biz&Tech

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ザイシン ビズアンドテック

中国の独立系メディア「財新」は専門記者が独自に取材した経済、産業やテクノロジーに関するリポートを毎日配信している。そのなかから、日本のビジネスパーソンが読むべき記事を厳選。中国ビジネスの最前線、イノベーションの最先端を日本語でお届けする。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT