激増する盗撮「犯人は普通の会社員」が多数の衝撃 「平均21.8歳」で盗撮を始めているという衝撃
「成人の場合は刑事処罰が科せられる可能性がありますが、少年法の下では、少年更生のために必要な手続きが進められることになります。未成年者の場合、当人も、善悪の判断がついていないことも考えられます。大人たちは処罰をする前に、『悪ふざけの先』にどういう危険があるのか、子どもたちにモラルを教える必要がありますよね」(高橋弁護士)
法整備の問題も
また子どもから盗撮の被害を相談された際、大人が心得るべきことがある。
「盗撮の被害者はその後も“SNSにアップされたらどうしよう”など、不特定多数にさらされる不安にさいなまれます。人によっては駅を利用できない、電車に乗れなくなるなど、日常生活が脅かされることも。相談を受けた人の“そんな短いスカートをはいているせいだ”と被害者の服装を注意したり、“触られたわけじゃあるまいし”など軽視する言動は、2次被害につながります」(前出の斉藤さん)
性犯罪にもかかわらず、軽く扱われがちな背景には法整備の問題もある。
「現在、盗撮罪という法律はありません。取り締まるのは、各都道府県が制定する迷惑防止条例だけ。つまり全国で統一した基準がないので、塾のトイレや会社の更衣室など、『公共の場所』以外での盗撮行為は、処罰できる県とできない県があるのです。銭湯などでの盗撮行為は、軽犯罪法が適用できる場合もありますが、『30日未満の拘留か、1万円未満の科料』と極めて罪が軽い」(高橋弁護士)
盗撮で加害者を起訴することは一筋縄ではいかないもどかしい現状。だが、泣き寝入りしないための策もある。高橋弁護士は述べる。
「盗撮は常習性が高い性犯罪。被害届を出すことで、後に加害者がまたどこかで盗撮をして捕まったとき、加害者のスマホに残っていた画像と提出しておいた届けが結びつき、立件につながるかもしれません。犯人が証拠隠滅を図っても、警察側がデータを復元することもありますよ。最近では、ようやく法制審議会でも『撮影罪』という名称で、盗撮を取り締まる法律を作る動きが出てきましたが慎重な議論は必要ですね。現状の迷惑防止条例でも、適切に運用すれば一定の抑止力にもなるとも考えられます」
現在の日本は盗撮大国とも言われている。
「被害を防ぐためには、日常から誰かを無断で撮影することが、どう他者に影響を及ぼすか、より自覚することです」(斉藤さん)
ある日突然、夫や息子が盗撮で捕まり、加害者家族になる可能性も。スマホで簡単に撮影できる便利さの背後には、危うさが秘められている現状を改めて考え直したい。
(取材・文/アケミン)
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