激増する盗撮「犯人は普通の会社員」が多数の衝撃 「平均21.8歳」で盗撮を始めているという衝撃
さらに驚くべきは、盗撮加害者が若年化していること。
「盗撮を始めた年齢は10~20代が全体の7割、平均21.8歳でした」
冒頭の美咲さんの夫のように、普通の人の裏の顔が盗撮加害者というケースがほとんどなのだ。
では、盗撮事件が起きやすい場所と手口はどうか。
「駅構内の階段やエスカレーター、電車内は盗撮多発スポットです。警察庁生活安全局の資料によれば、令和元年にはこれらの場所での盗撮被害は全体の3割を占めています」
盗撮といえばペンや靴、カバンなどに仕込んだ超小型カメラでの撮影を想像しがちだが、実際には『スマホ』が使われるケースが圧倒的に多い。同クリニックで治療中の盗撮加害者でもスマホが69%、うち9割は、撮影時にシャッター音が鳴らない『無音アプリ』を使用して犯行に及んだことが明らかになった。
駅構内のエスカレーターで、女性に気づかれないようにスマホでスカートの中を盗撮する──。これがデータからあぶり出された盗撮加害者の常とう手段といえるだろう。
日々のストレスを盗撮で解消
女性からすると、「そもそもなぜ盗撮をするのか?」と首をひねるだろう。
「盗撮軽視の興味本位からという動機が最も多いです。最初は、ごく軽い気持ちで自己使用(マスターベーション)のためにやったのに徐々に目的が変化していきます。盗撮前には、周囲にバレないかと緊張していたものの、実際にはスマホでいとも簡単に撮れてしまうとします。その際、加害者は達成感や優越感、スリルを味わいそれがやみつきになり、『盗撮のための盗撮』にハマっていくのです。やがて盗撮自体が目的となって、撮った画像を確認すらしなくなる人もいるんです」
さらに厄介なのは、盗撮が単なる高揚感だけに終わらないことだ。次に紹介するのは、かつて斉藤さんが治療した加害者が語った言葉だ。
『盗撮とは、相手に気づかれないように、日記を盗み見る行為なんです。その優越感は、日常生活では絶対に味わえないですから。そして画像や動画を保存することで、支配欲や所有欲が満たされるのです』
「彼らは劣等感、孤独感、傷ついた自尊感情や満たされない承認欲求など、日々のストレスを盗撮という性犯罪で解消しようとしているんです。
残念ながら一部の男性の中には不適切なストレス対処法として、女性を支配したり、モノのように扱う、性的に貶めるという手段を使う傾向が強く見られる。その背景には、女性を下に見る男尊女卑的な価値観が横たわっています」