買ってはいけない!「戸建て」見分けるプロの視点 コロナのいま「狭小戸建て」は買うべきか

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小さくても戸建て住宅なので、戸建てならではのメリットはたくさんあります、ペットを飼いやすい、子供が飛び跳ねても上下階に騒音をまき散らさない。自分たちの予算やタイミングで修繕やリニューアルができる、などなど実はかなりお買い得ともいえるのがこの3階建て狭小戸建て住宅なのです。

デメリットを割り切れるなら、意外と悪くない買い物

デメリットはなんでしょう。私たちプロの間では、いくら90㎡の面積を確保したといっても、有効率は悪いよね、と感じてしまいます。有効率とは、この場合、実際の居住可能面積を指します。

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フロアが3つに分かれていると、フロアをつなぐ階段が必要になります。階段部分は確実に居住スペースを減らしますので、90㎡といってもマンション住戸の90㎡と比較すれば1割程度は狭いという感覚になります。

また敷地が狭いので特に1階部分は陽光が入りにくく、暗いフロアになりがちです。常時暗いということは湿気でカビなどが生えやすく、メンテナンスにも苦労することになります。

3階は若いうちはよいのですが、歳をとると階段の昇り降りが億劫になります。ケアが必要なお年寄りなどが同居する場合にも、浴室と寝室の行き来が大変になるなどのデメリットがあります。

それでも3階建て狭小住宅は、こうした点を割り切って買うならば、意外と悪くない買い物だと思います。中途半端な土地があってもつまらないと考えて、家の中での暮らしをエンジョイする。マンションにはない開放感を得るには、メリットは多いような気がします。なんといっても、他人といろいろ協議して修繕や建て替えを考えなければならないマンションよりもお気楽です。

1世代だけ住んで、子どもが住まなくても、立地がよくて総額が抑えられているならばリセールバリューも確保できそうです。

これからは大量相続の発生とともにこうした企画の住宅が増えることが予想されます。もう数年もすれば価格はもっとリーズナブルになる可能性があります。よい立地で、身の丈に合った戸建て住宅を買う、悪くない選択と言えそうです。

次回は、2世代住居と、夫婦ダブルローン、2世代ローンの落とし穴についてお伝えしましょう。

牧野 知弘 不動産事業プロデューサー

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まきの ともひろ / Tomohiro Makino

1959年生まれ。東京大学経済学部卒。ボストンコンサルティンググループなどを経て三井不動産に勤務。J-REIT(不動産投資信託)執行役員、運用会社代表取締役を経て独立。現在はオラガ総研代表取締役としてホテルなどの不動産プロデュース業を展開。また全国渡り鳥生活倶楽部株式会社を設立。代表取締役を兼務。著書に『不動産の未来』『負動産地獄』『空き家問題』『2030年の東京』(河合雅司氏との共著)など。

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