衆院選後に日経平均上昇のカギを握るものは何か 11月第1週で「今年度後半の株価」が決まる

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そもそも、3本の矢とは周知のように、①大胆な金融政策でお金をじゃぶじゃぶにしてデフレマインドを吹き飛ばし、②機動的な経済対策によって需要を創出し、③規制緩和によって民間企業の投資を喚起する成長戦略だった。

だが、①によって「異次元緩和」といわれる流動性が作り出され、日経平均を31年ぶりの高値に押し上げたことが唯一の成功例であり、民間企業の成長力は相対的に低下し、GDP(国内総生産)成長率は世界に比べて劣ったままだ。

また、新3本の矢(希望を生み出す強い経済、夢を紡ぐ子育て支援、安心につながる社会保障)に至っては、具体策が示される前に安倍政権は退陣してしまった。後を継いだ菅義偉内閣は新型コロナウイルスに翻弄されただけで終わってしまった。

今月の「岸田ビジョン」に注目

よって、岸田政権に課された使命は大きい。新政策で無間地獄に落ち込んだかのような「失われた30年」を早く取り返してほしい。すでに株価は30年ぶりの高値となり、その可能性にエールを送っているではないか。

新政権が手をこまぬいているわけではない。すでに「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとした「新しい資本主義」を実現するためとして、「新しい資本主義実現本部」も設置済みだ。そこでは新しい資本主義の実現に向けたビジョンを示し、その具体化を進めるため、「新しい資本主義実現会議」を開催している。

しかも、会議の有識者構成員はまさに新しい資本主義実現を目指すにふさわしい人々が名を連ねており、かなり具体策が出そうなメンバーに見受けられる。11月上旬にも提言案が出るとの報道のとおりなら、早ければ今来週に出ることになる。

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