確かに、自分ひとりの限られた知恵で実行しても、失敗することが多い。いろいろな人の話、意見を求め、考えや結論をまとめていけば、それだけ失敗を回避できる確率が大きくなる。松下幸之助は、こうした経験知から、「衆知経営」という、独特の経営手法を作り出していく。従って、社員にも、「独断は危険、衆知を集めて経営をしろ」と言うことを繰り返し、話をしていた。
1977年1月、ある新聞記者の取材に答えて、次のように答えている。
できるだけ聞いていく
まあ、そうですな、会社を経営していくにあたっては、やはり、いろんな人の声を聞かんといかんですな。外の人の話も聞く。社内の人の話もよう聞いていく。できるだけ聞いていく。そういうなかで、せんならんこと、やらんといかんことが自然と浮かんできますわな。出てきますわな。人の言うことに耳を傾けていくことが、経営をしていく上にあたっては、大事なことです。けど、そのときに心がけんといかんのは、素直になってというか、素直な心ですな。とらわれて聞いておったら、大切なことを見過ごしてしまいますからね。それじゃあ、あきませんわ。
まあ、そうは言っても、忙しいですからな、経営者なり、責任者というのは・・・。なかなか聞いている場合もないこともある。しかし、たとえ聞けない、聞く機会がないという場合でも、みんなが何を考えておるか、みんなの考えはどういうものなのか、察知して命令なり、指示を出せんといけませんな。経営者たるものは、そういうことが出来んといかん。
そのためにも、日頃から、いろいろと話を聞いておく。いろいろと教えてもらっておく、尋ね学ぶということをしておかんとね。人の話を聞く、人の意見に素直に耳を傾ける、これが、経営者にとって大事なことと言えるのではないでしょうか。
ある意味、松下幸之助は、「多くの人の知恵を借りる賢い経営」をして、経営に成功したと言えるかもしれない。
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