「会社辞め、起業したい人」に学んでほしい7大失敗 事業を失敗に導く人の姿勢には共通点がある

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高度経済成長期には、年齢とともに役職も給料も上がっていきました。こうした時代は、1社で勤め上げる幸せもあったでしょう。しかし、現在は上の役職が詰まり、10年働いてもその組織で自分が一番下ということがありえます。また、管理職になったものの、部下はいないというケースもありえます。

現在は「昭和96年」ではなく、平成も終わり、令和の時代になっています。環境が大きく変わる中、昭和と同じ働き方を続けるよりは、もっと自分に合った働き方をしたほうが個人にとっても幸せではないでしょうか。

今は、SNSでは簡単に誰とでもつながれますし、隙間時間にリモートで仕事をすることもできます。組織の中にいると、「自分なりの課題意識を持って動く」という習慣がつきにくい。むしろ、そうした行動が抑制される力が働きがちです。

しかし、考えて行動し、従来の仕事の概念から飛び出したほうが、結果的に会社にとっても個人にとってもプラスのことが多いのではないかと僕は考えています。

重要なのは「会社のプロ」から「仕事のプロ」への展開

これからの時代に重要なことは、「会社のプロ」から「仕事のプロ」に転換することです。「仕事のプロ」とは、1つの仕事を極めて何社からも依頼がくる存在のことです。弁護士や医師などはわかりやすい例でしょう。ちなみに、僕は「起業(新規事業)のプロ」です。「会社のプロ」は1社の名刺で(社内で)たくさんの仕事をしますが、今後は複数の名刺で1つの仕事をすることが求められます。

自分の好きや得意を生かすという視点に立つと、「仕事のプロ」へのヒントが見つかるかもしれません。よく「自分には特別なことは何もない」とおっしゃる方がいますが、「20年間自動車メーカーで働いている」「10年間経理部にいる」といった経歴があれば、十分にその道のプロであるはずです。

「仕事のプロ」のほうが自分を生かすことができ、純粋に楽しいですし、さらに1社でうまくいかなくても複数社と関係性を構築しているという意味でリスクも少ないと思います。

こうした「仕事のプロ」になるために踏まえておいたほうがよいことは、大きく3つあると考えています。

1つ目は、「人は考えたようにはならず、行ったようになる」ということです。起業に向けて勉強することは大切です。しかし、セミナーに行くことや本を読むことをずっと続けていれば、「セミナーに行き本を読む人」になります。「仕事のプロ」になろうと思うのであれば、小さなところから動いてみることです。

副業が許されているならば、どんどんやってみればいい。許されていないのであれば、無報酬でNPOに参画したり、起業した人の手伝いをしてみたりしてもよいでしょう。「行ったように人はなる」ので、自分がやりたいことに直結する動きをすることが重要です。

2つ目は、「特定の領域において想定しうるすべての失敗を経験した人をプロという」ということです。挑戦には失敗がつきものなので、「失敗しないようにしたい」と思っているとプロにはなれません。大事なことは、失敗しても挑戦をやめないことです。失敗をしながらも継続していくことで量稽古を積んでいくと、「初見でも既視感」という域に達することができます。これは、複利の恩恵ともいえるでしょう。

3つ目は、「意志ある先に道は拓ける」ということです。簡単にいうと、「仕事のプロ」になるという意志を持ち続けるということです。

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