入試から読みとる「大学が受験生に求める学力」 早慶上理・MARCH・関関同立の将来像が見えてくる
さらに、教科横断型の「総合問題」の導入で注目されたのが青山学院大学。一般選抜の学部別試験で、「国語」や「英語」と「地歴・公民」を組み合わせた入試が行われた。「知識偏重」と批判される従来の大学入試に対し、異なる分野の知識を結び合わせ、応用していく能力を評価する。
「英語の上智」といわれる上智大学は、特別入試で「理工学部英語コース入試」を実施する。このコースは9月入学。留学生と日本人学生が一緒に学び、国際感覚に優れた理系人材を育成する。「理系こそグローバル教育が必要」という考え方は、もはや常識だ。
東京理科大学の一般選抜の「英語」は、理系でありながら、万全な対策が欠かせないことで有名。理系受験生が苦手とする長文問題がメインで、単語や熟語の暗記では対応できず、英語の総合力を磨いておく必要がある。
一方、一般選抜の受験生集めに苦戦する他大学を尻目に、明治大学は入学者の約7割を一般選抜で集める。単科大学や小規模大学を除くと、この数字は私大トップクラス。一般選抜はどの科目もクセがなく、平易だ。だからこそハイレベルな競争となる。とくに全学部統一入試などの「英語」は、試験時間60分間でボリュームのある長文問題を解かなくてはならない。処理能力の速さが求められる。
法政大学の一般選抜も標準的な難易度だ。代わりに特別入試で独自色のある受験生を募る。法政では全学的に学生の多様化を進めており、文学部や経営学部に加え、現代福祉学部などでも海外留学体験を重視する特別入試を実施する。
新学習指導要領を先取りした入試も
看板学部で特別入試を行い、ブランド強化を図る大学もある。中央大学は、法学部で「チャレンジ入試」を実施。法曹、官公庁職員、国際機関職員という3つの進路で学生を募集する。
立教大学の総合型選抜「自由選抜入試」では、スポーツや文化活動など、多様な観点で受験生を評価するが、観光学部では、観光業者の後継者を募集する。「観光学のパイオニア」をアピールする格好だ。
関西地区の大学入試は、さらに多彩だ。来春、高等学校でスタートする新学習指導要領のキーワードは、高校生が主体的に学ぶ「探究学習」。関西学院大学は「探究評価型入試」を実施し、英語・理系教育の強化高校で探究活動に取り組んだ受験生の獲得を狙う。
一般選抜で専門分野を学ぶ「感性」が試されるのは立命館大学の経営学部。20年度の入試では赤塚不二夫氏のマンガが出題され、「感じたこと」の論述が求められた。
関西大学の「スポーツ・フロンティア入試」が求めるのは、学業とスポーツを両立させ、学生文化を牽引できる受験生。試験問題も東京五輪のコロナ対策を検討させる(法学部)など、志望学部の視点でスポーツを考えさせる内容となっている。
一般選抜で英語の民間試験を活用しなかったのが同志社大学。特徴は、各科目の出題意図や学習のアドバイスなど詳細を公表していること。「同志社の受験生なら、同志社を徹底的に研究してほしい」。そんなメッセージが込められている。
社会が変わると、必要とされる人材も変わる。各大学がどんな将来像を描いているのか、その違いを入試の形や問題から読み取ることができるだろう。
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