投票前に知ってほしい「政治と金」問題頻発の根本 期待できない自浄作用、有権者にできること

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――どうしたら、「政治とカネ」の問題がなくなると考えますか。法改正によって「政治とカネ」の問題をなくそうという政界の動きは活発になっていないし、今回の総選挙でも主要な争点にはなっていません。

政治とカネの関係では、政治家個人の倫理観が重要になります。しかし、それだけでは金権腐敗政治がなくならない。歴史がそれを証明しています。政治腐敗を防止する法制度を完備させるしかありません。

法制度に欠陥があれば、それに乗じて腐敗が起きます。腐敗をなくすための法改正・制度改革が欠かせないし、国民がいつでも政治とカネを監視できる制度を確保し、実際に監視を続ける必要もあります。

ただし、政治家が自らを縛る法律を率先してつくるかどうか。「泥棒が泥棒を取り締まる」ことはありません。少なくとも、「桜を見る会」や「河合案里議員の選挙買収事件」などを起こした政党が政権与党でいる限り、法改正は進まないでしょう。

収支そのものをチェックする機関はない

――政治資金は総務省の管轄です。政党助成制度に基づく政党交付金は公金ですから、国の会計検査の対象のはずです。なぜ、こういった機関は「政治とカネ」をチェックしないのですか。

総務省は、政党や政治団体の届け出を受け付け、その政治資金収支報告書や政党交付金使途報告書を受け付けます。しかし、その収支そのものをチェックする権限はありません。会計検査院は国(政府)や独立行政法人の公金をチェックしますが、国家機関ではない政党・政治団体の政治資金をチェックする権限はありません。

――ということは、有権者が監視していないと「政治とカネ」の野放図な問題はなくならないと?

一度、政治資金収支報告書を見てはどうでしょうか。総務省のHPや各選挙管理委員会のHPで公開されています。収入の欄には、どの個人から、もしくは、どんな会社や政治団体からいくら寄付をもらった、ということが書かれています。地元の議員だと、あなたが知っている人の名前や会社が出てくるかもしれませんよ。

支出の欄には、地元事務所の家賃のほか、水道代・電気代といった光熱費、交通費、ポスター代といった経費が書かれています。「こんな飲食店で会議をやって、こんなに多額の金額が支払われているんだ」と驚くこともあるでしょう。何が法律違反かわからなくても、普段、政治家がどんなお金の使い方をしているのか知ることができます。そういうところからスタートしてみてはどうでしょうか。

取材:鈴木祐太=フロントラインプレス(Frontline Press)

Frontline Press

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「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年5月に合同会社を設立して正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や研究者ら約40人が参加。スマートニュース社の子会社「スローニュース」による調査報道支援プログラムの第1号に選定(2019年)、東洋経済「オンラインアワード2020」の「ソーシャルインパクト賞」を受賞(2020年)。公式HP https://frontlinepress.jp

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