また、こうした換気をしっかり「見える化」するために使いたいのが、二酸化炭素計測器だ。倉渕さんによると、ヨーロッパ暖房換気空調協会は各教室に二酸化炭素計測器を設置することを推奨している。定期的にチェックし、1500ppmを超えていたら窓を少し広めに開けるなどして換気を進める。
「見える化によって子どもたちも興味を持ちます。例えば、生徒が順番に測定係になって計測器をチェックし、それを黒板の隅などに書き込むなどすれば、子どもたちの換気に対する意識も高まるのではないでしょうか。予算的に厳しいのであれば、ヨーロッパのように測定器を教室に1つずつ置かず、交代で測ればいいと思います」
空気清浄機は風量を参考に補助として
もう1つ補助的に使ってもいいと倉渕さんが助言するのが、空気清浄機だ。現在市販されている空気清浄機のフィルターは高性能のものが多く、1μmぐらいの飛沫(感染者が咳や呼吸で発した飛沫にウイルスが含まれる状態。ウイルスそのものは約0.1μm)であれば、約85%はキャッチできるという。
教室は家庭の部屋と違ってけっこうな広さがあるので、使用するのは家庭用ではなく、業務用になる。風量がわかれば、「風量(立方メートル/時)×85%」という計算式で、一般的な換気に相当する空気の入れ換わりの量(相当換気量)がわかる。
倉渕さんが計算した教室に必要な換気量は、中学生40人に教員1人だと約600立方メートル/時。これを全量空気清浄機で対応するなら、必要な風量は約700立方メートル/時になる。空気清浄機には「何畳用」としか書いていないものもあるが、できれば畳数より風量を参考にしたい。
注意したいのは、空気清浄機を使った場合、外気を取り入れているわけではないので二酸化炭素計測器は有効にならないという点だ。また、感染リスクを下げる効果は換気ほど確実とはいえないことから、あくまで対策の主体は窓開けなどの換気で、空気清浄機は補助的に用いたほうがよいという。
ここまでは主に学校について触れてきたが、保育園や幼稚園も考え方は同様だ。
とくにマスクができず子どもの飛沫があちこちに飛ぶ、三密を避けることができない保育園や幼稚園では、飛沫感染対策、接触感染対策とともに、換気を充実させたほうがいい。この場合もやはり換気がしっかりできているかどうかの判断として、二酸化炭素計測器などが役に立つ。
「換気だけすればいいというわけではなく、ほかの対策も重要。ただ、集団感染を予防するということであれば、換気は重要なポイントです。今回は教室の話に特化しましたが、意外な盲点はトイレや廊下など、児童生徒たちの緊張がちょっと緩む場です。そういうところこそしっかり換気を行ってほしいと思います」(倉渕さん)
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