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「LGBTQヒーロー」が歓迎されるべき納得理由 ヒーローは「白人男性」だけの特権ではない

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  • 猿渡 由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト
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スパイダーマンも、スーパーマンも、ひとりしか存在してはいけないというルールはない。複数いて、そこにLGBTQや有色人種の人間がいても、なんら問題ないはずだ。その視点が多様化への突破口も開いたと言える。

『スタートレック』の挑戦

一方で、2016年の『スター・トレック BEYOND』は正攻法で、おなじみのキャラクターであるスールーをLGBTQにしてみせた。このときも、かなり大きな論議が起こっている。オリジナルのスールーを演じてきたジョージ・タケイも、自身がゲイであることをオープンにしているにもかかわらず、「新しいゲイのキャラクターを出してくればいい」と反対の声を上げていた。

それでもライターらは、スールーでそれをやることにこだわったのだ。出演と脚本家を兼任するサイモン・ペッグは、当時、筆者とのインタビューで、「新しくゲイのキャラクターを作ると、観客はその人を最初からゲイとしてしか見ないから」と理由を語っている。

そう聞いて、筆者は大いに納得した。LGBTQの人にとって、その部分はもちろん大きなアイデンティティであるとはいえ、それがすべてではない。それは、その人がもつたくさんの側面のひとつであるにすぎないのだ。

それに、現実の世の中では、出会ったときからその人がLGBTQと知っていたというより、しばらくしてから「そうだったんだ」となることのほうが圧倒的に多いものである。我々のスールーも、そのひとりだったというわけだ。

同作は、そこを実に上手に扱っている。公開前には「今度の映画ではスールーがゲイとして登場するらしい!」と大きく騒がれたにもかかわらず、いざ映画を見てみると、「えっ?これだけ?」という感じなのだ。

つまり、スールーという愛すべきキャラクターにとって、自身の性的指向はその程度のこと。ならばわざわざやらなくても良かったのではと思った人もいるかもしれない。だが、その小さなことが、すべての観客を、さりげない形で、もっとウエルカムするではないか。

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