「金融所得課税」で「親ガチャ」問題は解決できない 教育格差を生んでいるのは「所得」より「資産」だ

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最後に、格差の問題は「金融資産」において加速度的に拡大している点を指摘する。

総務省が5年ごとに行う全国家計構造調査(2014年以前は全国消費実態調査)によると、所得面(等価可処分所得 )のジニ係数は2009年の0.283をピークに減少傾向にある(下図・左)。おそらく女性の労働市場参入の増加や、最低賃金の引き上げなどが影響し、所得面での格差は縮小している。

一方、金融資産面(等価金融資産残高)のジニ係数は上昇傾向が続いている(下図・右)。金融資産面のジニ係数はもともと水準が高い、つまり格差が大きいが、アベノミクスによる株高などもあり格差は拡大傾向にある。つまり、所得面というフローの概念からみた格差は縮小しているが、金融資産面というストックの概念からみた格差は拡大しており、かつその程度が大きい。「格差是正」を進めるにはこの資産面での改善こそ重要ということができるだろう。

末廣 徹 大和証券 チーフエコノミスト

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すえひろ とおる / Toru Suehiro

2009年にみずほ証券に入社し、債券ストラテジストや債券ディーラー、エコノミスト業務に従事。2020年12月に大和証券に移籍、エクイティ調査部所属。マクロ経済指標の計量分析や市場分析、将来予測に関する定量分析に強み。債券と株式の両方で分析経験。民間エコノミスト約40名が参画する経済予測「ESPフォーキャスト調査」で2019年度、2021年度の優秀フォーキャスターに選出。

2007年立教大学理学部卒業。2009年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修了(理学修士)。2014年一橋大学大学院国際企業戦略研究科金融戦略・経営財務コース修了(MBA)。2023年法政大学大学院経済学研究科経済学専攻博士後期課程修了(経済学博士)。

 

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