最後に、格差の問題は「金融資産」において加速度的に拡大している点を指摘する。
総務省が5年ごとに行う全国家計構造調査(2014年以前は全国消費実態調査)によると、所得面(等価可処分所得 )のジニ係数は2009年の0.283をピークに減少傾向にある(下図・左)。おそらく女性の労働市場参入の増加や、最低賃金の引き上げなどが影響し、所得面での格差は縮小している。
一方、金融資産面(等価金融資産残高)のジニ係数は上昇傾向が続いている(下図・右)。金融資産面のジニ係数はもともと水準が高い、つまり格差が大きいが、アベノミクスによる株高などもあり格差は拡大傾向にある。つまり、所得面というフローの概念からみた格差は縮小しているが、金融資産面というストックの概念からみた格差は拡大しており、かつその程度が大きい。「格差是正」を進めるにはこの資産面での改善こそ重要ということができるだろう。
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