地味にイラつく「銀行ATMの使い勝手」を検証する 「UI・UX」が大事と言われる時代に考える

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となると気になるのは、他行の動きだ。ゆうちょがやるなら、右へ倣えでウチも硬貨の入出金手数料を新設するぞとなってもおかしくない。近い将来、どこの銀行でも硬貨の取り扱いが有料になる日が来るのか。筆者は、小銭で財布が重くなると銀行ATMに全部突っ込んで入金し、再度まとまった金額単位で引き出したりしたものだが、そういう小ワザは使えなくなりそうだ。

「もっと入金しませんか?」と誘うATM

近所に銀行の支店なんかない、もっぱらコンビニで下すという人は多いだろう。なかでも、台数も提携銀行数も断トツで多いのはセブン銀行ATMだ。もはや自行ATM自体をやめ、セブンに切り替えた新生銀行のようなところまである。

銀行の入出金だけでなく、スマホ決済や電子マネーの現金チャージもと、できる機能が多岐にわたるため、残念ながら取引までの工程は多くなる。筆者がコンビニATMを使うのは、引き出しではなく入金が多いのだが、いつも「これ、いるの?」と感じる画面がひとつある。

入金のために紙幣をATMに入れると、お札を回収して入金額を表示した後、普通なら「確認」とか「次へ」といった表示が出るが、セブンATMは、その際にもう一度、紙幣の投入口を開けてくる。追加の入金があれば入れてくださいと、必ず言われる。

いえいえ、いいです、これ以上お金ないですと確認ボタンを押して次に進むのだが、なんで毎回念押しされるのだろう。そんなに追加で入金したい客ばかりが集まっているのか。さすがに、「追加でもっと引き出しませんか?」とは聞かれないので、提携銀行へのサービスとしてお金を集めることに熱心なのかもしれない。

利用者が接するATMにはこのように細かな違いがあり、人によって「面倒だな」「改善してほしい」と感じる部分は異なるかもしれない。しかし、現金の出し入れは、利用者にとってもセンシティブな瞬間だ。高齢者が使うケースも多いだろうし、金融詐欺の現場にもなりかねない。使いやすく、戸惑わせない、しかしおせっかいにならずにスムーズに手続きできるATMの「UI/UX」とはどうあるべきか。そんな議論も、ぜひ現場でしてもらいたい。

松崎 のり子 消費経済ジャーナリスト

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まつざき のりこ / Noriko Matsuzaki

20年以上にわたり『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『マネープラス』などのマネー記事を取材・編集。家電は買ったことがなく(すべて誕生日にプレゼントしてもらう)、食卓はつねに白いものメイン(モヤシ、ちくわなど)。「貯めるのが好きなわけではない、使うのが嫌いなだけ」というモットーも手伝い、5年間で1000万円の貯蓄をラクラク達成。「節約愛好家 激★やす子」のペンネームで節約アイデアも研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(講談社)、『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)。
【消費経済リサーチルーム】

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