iPhone熱狂の裏で進むアップル“閉鎖”主義

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閉鎖性こそ哲学

このままアップルが閉鎖性を強めれば、アプリ開発者などが、プラットフォームとしてはより自由度が高いとされるAndroidへ流れていく可能性も考えられる。すでに、米国などでは複数の著名開発者がブログなどで、「アップル撤退」を表明。また、米メディアの報道によると、米公正取引委員会(FTC)がアップルの携帯電話事業について調査を検討中という。

一方「アップルはこれまでも垂直統合型のビジネスモデルを築いており、閉鎖的であることこそ経営哲学。グーグルのように皆が共通で使えるソフトをオープンに提供する考えはない」(ABIリサーチのアナリスト、マーク・ベッキュー氏)との指摘もある。

こうした中でアップルが最終的に目指すのは「自社と差別化できる技術の確立」(米調査会社ガートナーのアナリスト、レイ・バルデス氏)。そのうえで、その技術を多くのプラットフォームへ提供していくこともできる。その代表例が音楽配信サービスの「iTunes」。もともとMac向けソフトだったが、Windows向けにも提供することで爆発的に広がった経緯がある。

閉鎖的な環境の中で革新的な独自技術を確立するだけでなく、それをテコにほかのプラットフォームへの進出も狙う--。独自路線をひた走るアップルの勢いはどこまで続くのか。
(倉沢美左 写真:吉野純治 =週刊東洋経済)

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