新幹線の「永遠の好敵手」、フランスTGV40年の軌跡 国際列車網に発展、最高時速574kmの記録も

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9月22日にパリ・リヨン駅で開いたTGV40周年祝賀行事に出席したマクロン大統領は、2024年の投入を目指す新型車両「TGV M」のモデルを前に、改めてLGV延長の意向を示した。

9月22日にパリ・リヨン駅で開いた40周年記念式典で、新型車両「TGV M」を前にあいさつするマクロン大統領(写真:AFP=時事)

これは全長2700kmに及ぶ計画で、1つは南ヨーロッパ大西洋線終点のボルドーと南部トゥールーズの間、もう1つは南仏のニースからマルセイユ、モンペリエ、ベジエを結ぶ路線だ。2030年から5年以内の完成を目標としている。

コロナ禍によって鉄道も航空も瀕死の状態に陥る中、フランス政府はエールフランスへの支援に際して国内線の運航を削減し、高速鉄道へのシフトを進めることを条件とした。マクロン大統領は就任当初、在任中のLGV延長を否定し、「近距離通勤網の拡充を進める」としていたが、コロナ禍での交通機関救済にあたっては脱炭素社会への移行を念頭に、航空業界には大ナタをふるう一方、LGVの整備を重要課題としたわけだ。

高速列車同士の競争時代に

一方で、TGVには航空とは別のライバルが出現する。「オープンアクセス」による外国資本の高速列車がいよいよフランスにも進出するのだ。

これはインフラ保有と列車運行を別々とする「上下分離方式」に基づく市場開放で、従来の国鉄だけでなく、鉄道施設管理者から外資を含む民間オペレーターが運行枠を買い取って列車を走らせる仕組みだ。今年中にはイタリア鉄道子会社のテッロ(Thello)がミラノ―リヨン―パリ間の運行を開始する予定で、来年にはスペイン国鉄(Renfe)がリヨン―マルセイユ間に参入の見込みだ。

フランスの格安高速列車「Ouigo」(写真:kipgodi/iStock)

これらの新勢力に対し、フランス国鉄(SNCF)は2013年に運行を始めた格安航空(LCC)の列車版「Ouigo(ウィゴー)」を増強して対抗する。マクロン大統領が披露した「TGV M」は高速化を狙うのではなく、エネルギー効率の拡大を目指すという。車内レイアウトへの工夫や1等車の廃止で、乗車定員を従来形より20%以上増やす計画だ。

TGVの40周年はコロナ禍からの経済復興のみならず、気候変動という大きな課題がのし掛かり、鉄道を含む公共交通機関の仕組み全体が「新時代への転換点」に差し掛かったタイミングと重なった。課題が山積する中、欧州におけるTGVや高速列車を取り巻く環境は今後、どのように変化していくのだろうか。

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