新幹線の「永遠の好敵手」、フランスTGV40年の軌跡 国際列車網に発展、最高時速574kmの記録も

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路線の拡張も進んだ。1990年の大西洋線に続き、1992年には南東線のリヨンから南方向に向かう「LGVローヌ・アルプ線」が一部開業し、1994年に南東部の都市ヴァランス(Valence)までの全線(115km)が開通した。パリから北方向に延びる「LGV北線」(333km)も1993年にリールまで開業している。

英仏海峡トンネルを通ってイギリスと欧州大陸を結ぶ国際特急「ユーロスター」。初代車両はTGVがベースだ(筆者撮影)

TGVはフランス国内に着々と路線網を築く一方、1990年代半ば以降は国際列車としての存在感も高めていく。1994年には「ナポレオン以来の悲願」とされた英仏(ドーバー)海峡をくぐるユーロトンネルの開通により、パリ北駅/ブリュッセル南駅―ロンドン・ウォータールー駅間で国際特急列車「ユーロスター」の運転が始まった。現在も活躍を続ける初代ユーロスター車両はTGVがベースだ。

フランス・ベルギー・オランダ・ドイツの4カ国を結ぶ「タリス」。写真の車両はドイツ以外の3国を走る車両(PBA型)だ(筆者撮影)

1996年には、TGV車両を使った新たな国際高速列車「タリス(Thalys)」の運行が始まった。フランス、ベルギー、オランダ、ドイツの都市間を結ぶ高速列車で、各国の鉄道会社が共同で立ち上げたブランドだ。1997年にはベルギー国内に高速専用線「HSL 1」が開通し、ブリュッセルとパリ・ロンドン間の高速化が実現した。タリスはその後、ベルギーから独アーヘン、ケルン方面への運行も行われている。

需要増加で2階建て車登場

1990年代半ばには、車両の面でも新たな展開があった。客車部分を2階建てとした「TGV Duplex(デュープレックス)」の登場だ。

TGVデュープレックスの2階にあるカフェ(筆者撮影)

TGVは在来線を使って都市中心部にある駅に乗り入れているが、需要の拡大によってターミナル駅に出入りする線路の「渋滞」が問題化した。郊外を走るLGV部分の線路容量は空いていても駅に入れないため、TGVの増発が難しくなってきたのだ。

そこで1995年に登場したのがTGVデュープレックスだった。10両(客車部分は8両)の定員は初期型の「TGV-PSE」と比べ4割多い516人に増加。10両編成を2つ連結した20両の長大編成による運転も頻繁に行われており、輸送力の増強に大きな役割を果たしている。

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