芸能人のステマ「悪質なPR手法」とわかる納得理由 信頼できない「クチコミ」氾濫する日本の現状

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なぜ人は「ステルスマーケティング」に容易にだまされるのか?(写真:Ushico/PIXTA)
なぜ芸能人のステルスマーケティング、いわゆる「ステマ」は悪質とされるのでしょうか? その理由をマーケティング&ブランディングディレクターの橋本之克氏による新刊『9割の買い物は不要である 行動経済学でわかる「得する人・損する人」』より一部抜粋・再構成してお届けします。

商品やサービスの買い手などが、評判や噂などを口伝えに広める行動や、その内容を「クチコミ」と呼びます。つい最近まで、情報量、スピード、影響力などの点ですぐれるテレビ、新聞などのマスメディアが重視されていたため、クチコミはあまり注目されていませんでした。

しかし、もともとクチコミは、古くからあるコミュニケーションの形で、人間の生活に溶け込んだ原始的なコミュニケーションです。ただし、従来の口頭によるクチコミは、個人のまわりの人間関係の中でおこなわれるため、影響範囲は限定されていました。

それが、ネット・クチコミが普及し、利用されるようになると状況は一変します。購入や使用にもとづく感想や評価などを表すレビューや、星の数など、多様なネット・クチコミの手段が生まれ、多くの人が利用するようになりました。

ネット通販サイト、価格比較サイト、ポータルサイトなど、たくさんのサイトで多くのコメントが交わされています。飲食店、ホテルや旅館、美容院などの施設の紹介サイトでも、評価がおこなわれています。

また、コスメ、住宅、映画、音楽など、さまざまな商品が評価され、さらには学校、病院、弁護士などの士業などを評価するサイトもあります。

このほかにも、SNSやブログなど、ネット上のさまざまな場所にクチコミがあります。そこでのコミュニケーションのおこなわれ方は多様です。口頭でのクチコミのようにコメントだけでなく、星の数や点数をつける、画像などで補足するなど、さまざまな形で商品やサービスの情報交換がおこなわれています。

クチコミの影響力はマスコミ以上に

こうして今ではネット・クチコミが、マスメディアをもしのぐ影響力を持つようになりました。その理由は、まず時間と空間の制限がないことです。情報の発信者と受信者が、同じ時間に同じ場所で情報交換する必要がないどころか、情報は速いスピードで世界中に公開、共有されて、24時間受発信できます。

伝達手段も、スマホやPC、サイトやSNSと多様です。その表現においても、文字だけでなく写真や動画も活用して、内容を豊かに伝えることが可能です。さらに、その内容はデジタル化されてネット上に残るため、発信後も長く見ることができます。

また、ネット・クチコミは、受発信の匿名性が強い点も特徴です。これにはメリットとデメリットがあります。

次ページなぜ人は「無責任なクチコミ」まで信じてしまうのか?
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