芸能人のステマ「悪質なPR手法」とわかる納得理由 信頼できない「クチコミ」氾濫する日本の現状

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リアルなクチコミは、基本的には知り合い同士のあいだでおこなわれますが、ネットでは見ず知らずの人のあいだで情報交換がおこなわれます。現実社会における地位や立場とは関係なく、対人関係による圧力もなく、自由に交流できるというメリットがあります。

逆に、その点がデメリットにもなります。多くの場合、発信者は匿名のまま情報を発します。内容に関して、責任を問われるとは限りません。したがって、ネット・クチコミの内容には虚偽や、不確実な情報が含まれる可能性もあるのです。このように功罪はあるものの、ネット・クチコミは利便性や多様性があり、今では大きな影響力を持っています。

「知らない人からの情報」をなぜか信じる人の性

買い物においては情報収集が不可欠なので、ネット・クチコミの情報が役立ちます。しかし時には、その情報によって行動が歪められることがあります。情報を受け取る側の心理にバイアスがかかるためです。その1つは「ウィンザー効果」の影響です。

これは、本人から直接発信される情報よりも、直接的な利害関係のない第三者から、間接的に伝わる情報の信頼性を高く感じる心理的傾向です。

たとえば、施設や商品の情報であれば、当事者である運営者やメーカーからの情報よりも、利害関係がない第三者からのクチコミのほうが信頼されます。

この心理によって、単に第三者からの情報だからというだけで、その発信者の素性がわからなくても、その内容を信じてしまう可能性があります。場合によっては、じつは発信者が、その商品を提供する関係者であったというケースもあります。

逆に、第三者を装ったライバル商品の提供者だということもあります。その発信者による、巧妙に商品を中傷するクチコミを見て、本来は買うべき良品なのに、購入をためらってしまう可能性もあるのです。

ウィンザー効果は、情報の発信者が「第三者」であることによる心理的バイアスです。

そのほか、発信者が「著名人や専門家」である場合にも心理的バイアスが生まれます。「ハロー効果」です。これは、ある対象を評価するときに、それが持つ顕著な特徴に引きずられて、ほかの特徴についての評価が歪められる現象です。

たとえば商品やサービスを評価する人が、有名なタレントだったとします。すると、出演しているテレビ番組や映画などを通じて、タレント本人が強く印象づけられているために、発言にも信憑性があると判断されます。そのタレントのクチコミで、よく評価されている商品があれば、それを鵜呑みにしてしまう可能性があります。

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