芸能人のステマ「悪質なPR手法」とわかる納得理由 信頼できない「クチコミ」氾濫する日本の現状

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ウィンザー効果やハロー効果は「クチコミ発信者が誰であるか」によって、判断を誤るという心理的バイアスでした。これらと別に「クチコミのボリューム」によって、かたよった判断をしてしまうケースがあります。アメリカの経済学者であるハーヴェイ・ライペンシュタインが提唱した「バンドワゴン効果」です。

これは多くの人が同じ選択をしていることにより、その選択肢が、さらに多くの人から選ばれやすくなる現象です。人の「時流に乗りたい」「多勢に加わりたい」「勝ち馬に乗りたい」といった心理によって起こります。

ちなみに「バンドワゴン」とは、パレードの先頭を行く楽隊車のことです。その後ろに行列がぞろぞろとついていく様子を、多数派についていく大勢の人々の姿にたとえて、この効果が名づけられました。

行列ができている店ほど儲かる理由

この事例として、選挙活動で事前に有力、優勢とされた候補者に票が集まる状況があります。また、投資で皆が買っている銘柄を買いたくなる心理や、行列ができている飲食店に並びたくなる心理も、バンドワゴン効果の影響によるものです。

モノの売り買いにおいて、この影響を受けると、4つ星、5つ星が数多くついている商品やサービスを、無条件に買ってしまう可能性があります。多くの人々の評価に流されて、本当に自分にとっていい商品かどうか、判断が甘くなりかねないため要注意です。

ここまでは、クチコミに関する心理について解説してきました。基本的にはクチコミを見る側が、誘導されやすい自分の心理について知り、誤った判断を避けてほしいという意図です。

ここからは別の観点から、クチコミに関する注意点に触れておきます。この項で紹介したウィンザー効果、ハロー効果、バンドワゴン効果などによる心理の誘導を、広告であることを隠しておこなうケースがあるのです。

それは「ステルスマーケティング」と呼ばれます。日本においては、2012年の「ペニーオークション詐欺事件」で有名になりました。

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