芸能人のステマ「悪質なPR手法」とわかる納得理由 信頼できない「クチコミ」氾濫する日本の現状
ペニーオークションは、毎回の入札ごとに手数料が必要になる形式のインターネットオークションです。表示上の開始価格や落札価格は、通常のオークションより安いものの、高額の手数料がかかります。
一時話題になりましたが、運営者が入札金額を釣り上げるダミー商品ばかりで、実際には低額での落札が不可能などの不正が明らかになり、運営者が有罪判決を受けました。
問題は、著名な芸能人が、報酬を受け取って自分のブログなどで、格安で落札したなどという架空の事実を発信していたことです。第三者であるはずの芸能人を使った広告であるにもかかわらず、そのことを隠していたわけです。まさに、ウィンザー効果やハロー効果を悪用したネット・クチコミです。
欧米では現在、ステルスマーケティングは違法です。アメリカではPR活動において、広告主との関係や金銭授受の有無を公開するよう義務づけられています。違反すれば民事訴追や行政措置を受けます。
一方、日本では、ステルスマーケティングそのものを違法とする法律は存在しません。したがって欧米以上に、不正なクチコミに接する危険があります。
怪しげな日本語で商品のよさを主張するレビューなど、国内で取り締まるのが難しそうなケースも見受けられます。こうした状況がすぐに変わるのは難しいでしょう。
だとすれば、自衛の意識を持つしかありません。ネット・クチコミに関しては、ステルスマーケティングである可能性を、つねに意識することです。さらに、行動経済学の観点で、自分自身の心に生まれる心理的バイアスも知っておくことが必要です。
しかしながら、誤った方向への誘導を避けるのは簡単ではありません。もし、自分の判断に関して精度を上げようとするならば、自分の買い物行動について、情報収集から購入の結果までのプロセスを買った後で思い返し、失敗を記憶するのがいいでしょう。購入前のクチコミ情報に嘘があったとわかれば、次からは、そのサイトを慎重に見るのです。
ネットから得る情報の真偽を見極めるのは、面倒かもしれません。しかし買い物に限らず、すべての生活において必要な技術です。
自分のお金を損しながら得た判断技術は、単に教えられただけの知識よりも貴重なものになるはずです。買い物をすることで、生活全般に必要な情報収集の技術を学ぶのも大切なことだと言えるでしょう。
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