料理店も"悲メ~"、ラム肉価格が急上昇 ヘルシー志向が追い風、13年初の1.5倍に

拡大
縮小

背景にあるのが中国の買い付けの増加だ。現地での「火鍋」需要拡大や飼育頭数の制限によって買い付け量を増やした。さらに「中国は従来、すね肉など日本が輸入しないような質の劣るものやマトンを買い付けていたが、高級部位への嗜好の変化もあり、日本と直接ぶつかる局面が増えている」(食肉輸入卸)。マトンもツレ高となり、ラムとの価格差が最大5割程度あったものが、3割程度に縮小しているという。

一方、日本国内でも需要拡大が続いている。2014年前半の輸入量は1.09万トンと前年同期比11.1%増となった(羊・ヤギ肉合計)。マルエツでは昨年春以降、数量、金額とも2ケタ増ペースが続いている。これは、脂身の少なさなどヘルシーな点がシニア層に受け、高級スーパーだけでなく、小売り各社が取り扱いを拡大したためだ。

ライフコーポでは従来、スポット的な取り扱いだったが、昨年の新店からコーナーを作り本格的に展開。2014年の販売金額は前年比4倍増で推移する。マルエツも、他社では扱いがほとんどないNZ産もも肉を2013年から販売し、好調を維持しているという。

2014年後半も高止まりか

今後の価格動向について、ある食肉輸入卸関係者は「国内消費量の拡大が続くのは間違いない。一方、豪州やNZの生産量も急に増えるわけではない。ただ現状では中国にも十分な在庫があると考えられ、為替の動向を除けば、2014年後半のラム価格は高止まりになるのでは」と予想する。

価格が高騰したとはいえ、「中国に価格面で買い負けなければ、十分に輸入できる」(同)状態で、供給量自体には問題がない。消費量も、羊肉全体で牛肉の2%内外と小規模にとどまる。国内のラム肉市場は数量、金額とも当面、拡大余地がありそうだ。

「週刊東洋経済」2014年8月23日号<8月18日発売>掲載の「価格を読む」を転載)

石川 正樹 東洋経済 記者

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いしかわ まさき / Masaki Ishikawa

『会社四季報』元編集長。2023年より週刊東洋経済編集部。

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