小麦粉、横並びの販売価格改定に異変 日清製粉が投じた一石の波紋が広がる

拡大
縮小
日本の小麦輸入元は米国、カナダ、豪州。政府が輸入し、関税相当分を乗せて売り渡す(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロ)

自由競争の表れか、それとも業界のおきて破りか──。政府の輸入小麦売り渡し価格見直しに伴って行われる国内製粉メーカーの小麦粉の販売価格改定で、主要各社の対応が分かれた。

業界2位の日本製粉と3位の昭和産業が「7月から業務用強力粉(パン・中華麺用)は値上げ、中力粉(うどん・即席麺用)と薄力粉(菓子用)は値下げ」としたのに対し、トップメーカーの日清製粉グループ本社は「小麦粉全銘柄の価格据え置き」を打ち出したからだ。今までも改定額が各社間で若干異なることはあった。だが、値上げ、値下げの方向性がバラバラになるのは初めてだという。

営業現場も混乱

各メーカーは4月上旬の小麦価格改定発表を機に、パン、麺、菓子などの需要家と交渉を行い、7月の新価格導入に持ち込む日程だった。だが、従来と違い、大手の間で対応が異なったことが、営業現場の混乱を引き起こしている。

シェア4割を握る日清製粉が据え置きを発表した時点で、強力粉の値上げは事実上不可能になった。日本製粉や昭和産業が値上げを求めても、少しでも安価な原料を望む需要家に「日清は据え置きじゃないか」と言われれば、引っ込めざるをえない。

一方、中・薄力粉については、日清の「価格据え置き」は難航している。こちらは、ほかの2社が値下げを打ち出しており、強力粉とは逆に、日清が値下げを要求されれば受け入れる可能性が高い。

次ページ原料は値上がり基調
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT