到来!「第2次スイーツブーム」流行るのは何か 「自由が丘スイーツフォレスト休園」のその後

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こうしてここ30年のスイーツブーム変遷史を見ていくと、洋菓子とアジアのスイーツばかりであることに、改めて気づかされる。

約40年前に始まったグルメブームも、流行の大半が外国料理であり、私たちは外国の食文化を一生懸命取り込んできたと言える。スパイスやハーブ、油っこさ、濃厚な味わいと、食べ慣れなかった味や香りに最初は驚きを持ち、やがてクセになっていく様子が、くり返されるブームから読み取れる。

異なる食文化の許容度が高くなっているのは、日本人のグルメ化が進んだからだろう。スイーツブームと言われた時期が過ぎてからも、くり返しスイーツの流行は起こっている。このほかパンケーキ、チョコミント、高級チョコレート、チーズケーキ、焼き菓子、なめらかプリン・固めプリンなど、挙げていけばキリがない。

キーワードは「グルメ化」「世代交代」

そうした中、第2次スイーツブームが始まりつつある。

1つは冒頭でも触れたが、デザートコースを出す店があちこちに出現していること。最初から最後までスイーツを出す店が成立するのは、テイクアウトできないデザートならではのパティシエの技の瞬間芸を楽しみたい人がいるからだ。それはさまざまな味と食感、温度帯を楽しませるパフェの高級バージョンとも言える。パフェも、2017年頃からブームになっている。スイーツの楽しみ方が、グルメ化しているのだ。

「ヌン活」と呼ばれるアフタヌーンティーも、スイーツが主役と見なされている。濃厚なバターを利かせたスイーツも人気となっている。王道の洋菓子の技に改めて注目させる流行は、かつての生ケーキのブームを思い起こさせる。

和菓子も今回は注目されている。さまざまなフレーバーのおはぎ、和洋折衷のネオ和菓子、琥珀糖や錦玉羹といった透明和菓子なども人気が高まっている。

和菓子界でも見た目が鮮やかなおはぎなど、さまざまな新星が現れている。写真は「OHAGI3(おはぎさん)」(撮影:今井康一)

旧来の洋菓子店や和菓子店が世代交代できずに閉店する一方で、新しいコンセプトで開くスイーツ店が次々と誕生している。自由が丘スイーツフォレストの休園が示すように、スイーツの世界も世代交代の時期が来ているのではないか。

もしかすると、より濃厚な洋菓子と、現代的に進化したことで再発見される和菓子の2つが、洗練された第2次スイーツブームを盛り上げていくのかもしれない。

阿古 真理 作家・生活史研究家

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あこ まり / Mari Aco

1968年兵庫県生まれ。神戸女学院大学文学部卒業。女性の生き方や家族、食、暮らしをテーマに、ルポを執筆。著書に『『平成・令和 食ブーム総ざらい』(集英社インターナショナル)』『日本外食全史』(亜紀書房)『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた』(幻冬舎)など。

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