到来!「第2次スイーツブーム」流行るのは何か 「自由が丘スイーツフォレスト休園」のその後

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もう1つが、1982年に自由が丘を皮切りに日本へ進出、フランスを代表する食の高級ブランドのダロワイヨだ。

マカロンブームを担ったダロワイヨ(編集部撮影)

本社からの要請で2002年頃からマカロンの売込みに力を入れ、2004年に『家庭画報』に広告を出したところ、銀座店に1日100件以上も問い合わせが殺到した。マカロンブームは、六本木ヒルズなどの新しい商業ビルが次々とでき、ITバブルと言われた、実は景気がよかった時期に起こっている。

同じ頃流行していたのが、鋳物ホーロー鍋のル・クルーゼ。どちらもフランス発で、ビビッドで濃厚なカラーバリエーションが売りだ。ポジティブな雰囲気になった時代に、今までの日本にないような色合いの商品が出てきた新鮮さも、ヒットの要因だったと考えられる。ユニクロのフリースがヒットした時代でもあり、カラフルなものが好まれるようになってきていた。

濃厚な色や味のスイーツが次々と人気に

その後、アメリカから上陸したカラフルなトッピングのドーナツ、カップケーキ、ポップコーンなども流行。甘さが強く濃厚で、カラフルなスイーツが次々とヒットする。濃厚な色や味が、この2000年代半ばを分岐点として、人気になっていくのだ。

嗜好の変化は、料理に目を転じるとよくわかる。リーマンショック後にホルモン、2010年代に赤身肉、熟成肉、羊肉などの肉ブームが次々と起こる。2010年代半ばから本格化するアジア飯ブーム、2016年をピークとするパクチーブームもあった。世界各国のクセが強い濃い味を求めるようになっていくのだ。

2021年にスプレッド、アイスなどが次々と発売され、盛り上がるピスタチオブームはそうした2つの流れにある。日本人にとっては珍しいスモーキーグリーンのビジュアル、そしてナッティなクセのある味わいだ。

中東発祥のこのナッツは、ヨーロッパでは人気になっていた。フランス式の生ケーキでも定番の食材だ。ヨーロッパと中東は隣接した地域のため、経済・文化の交流が古くから盛んで戦争もくり返し起こっている。

エキゾチックな印象はあるがあまり知られていなかった中東の料理も近年、ハリッサやコロッケのファラフェルが流行るなど、身近になりつつある。ピスタチオには、そんな中東のエキゾチックな香りを持ちつつ、ヨーロピアンなエレガントさが加わっている。両方の文化への憧れを見せてくれるナッツなのである。

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