自民総裁選後の日本を待ち受ける「米国の超大物」 駐日大使予定のエマニュエル氏は恐ろしい人物

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もちろん、歴代の日本大使の顔ぶれを見ても「大物」と呼ばれる人物は大勢いた。アメリカから見ても日本へ大使として赴任するのはそれなりの名誉職であることは間違いない。だが、すでに事実上政界から引退したような大物上院議員や副大統領、あるいは政治の経験がなかったキャロライン・ケネデイ氏などのように、その知名度と好感度で日本との友好と親善を目的として赴任したケースが圧倒的に多かった。

その点で、エマニュエル氏はまったく異なる人物である。まだ60歳をすぎたばかりのバリバリの現役政治家であり、その実力たるや今の民主党の顔ぶれの中でも圧倒的存在なのである。そのエマニュエル氏が、日本に単なる親善目的でやってくるはずがなく、何か大きな仕事をするためにやってくるはずだ。

エマニュエル氏はバイデン政権誕生に最大限貢献  

それを強く示唆する事実が先日判明した。彼は8年務めたシカゴ市長を2019年に辞めたが、2020年のバイデン政権誕生の最大の功労者の一人だったことがわかったのだ。トランプ政権ではマイク・ペンス副大統領の報道官から、国防省のスポークスマンへ出世し、最後は政権の広報部長にまでなったアリッサ・ファラー氏が、転職したリベラル系メデイアにおける自分の番組の中で、エマニュエル氏がバイデン政権誕生に直接貢献した秘話を紹介していた。

彼女は2020年3月当時のトランプ陣営の分析を伝えている。すなわちこのときはまだ民主党の予備選ではバーニー・サンダース氏が首位を走っていた。だが、突然サウスカロライナ州の予備選の前に、それまで予備選で4位か5位だったバイデン氏の元に、バイデン氏よりも上位にいたピート・ブテイジェッジ氏やエイミー・クロブシャー氏が下るという前代未聞の現象が起きた。

このときの民主党主流派の意向は、民主党の候補は「社会主義者」のサンダース氏ではなく、バイデン氏を担ぐべきで、そのための策略を実行したのが、誰あろうこのエマニュエル氏だったと、トランプ陣営が分析していたことを、番組内で紹介したのである。

彼女の話が事実に近いであろう証拠は、その後勝利したバイデン氏が、ちょうど今上院で審議中の3.5兆ドルのインフラ法案の要になる運輸長官のポストを、エマニュエル氏に用意していたことからもうかがえる。

だが、前述のシカゴ市長時代の黒人犯罪者に対する強硬な政策について、左翼からのエマニュエル氏起用に強硬な反対が起こり、バイデン氏はエマニュエル氏の運輸長官への起用を断念。代わりに、民主党の次世代のエースとされるブテイジェッジ氏を任命した。

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