コロナ「協力金バブル」翻弄される飲食店の実情 飲食店と消費者の間に壁ができている
現在、協力金は「事業規模」や「前年又は前々年の1日当たりの売上高」などによって支給額に差異があり、一律ではなくなった(さらに地域によって支給額も異なる)。
飲食店を敵視する消費者
しかし、年が明けて以降、東京に関して言えば、9月30日時点で緊急事態宣言ではなかった日は、全日数の約25%しかなく、申請した飲食店には給付金が支給され続けている。
宣言下ではない『まん延防止等重点措置』期間においても同様の措置であったため、いよいよ飲食店を敵視する消費者まで現れる始末だ。
週刊女性PRIMEが、首都圏の飲食店経営者・自営業者約150人を対象に緊急アンケートを実施したところ、協力金を加算しても、コロナ前よりも収入が落ちた店は88%、上がった店は12%という結果だった。
あくまで週刊女性アンケート上ではあるものの、全体の1割ほどしか“協力金バブル”の恩恵を受けていないことになる。ところが、飲食店憎しの声は少なくなく、協力金によって飲食店と消費者の間に壁ができている感は否めない。
「“飲食店だけ”という措置を取ったことが、結果的にネガティブなイメージを作り出してしまった。また、店舗や業態によっては、協力金だけでは足りません。その結果、通常営業という判断にいたる店があらわれ、そこに客が殺到し、感染防止の意味をなさなくなってしまった。『感染拡大防止協力金』は良策とは言い難い」
そう語るのは、食のあり方から飲食店の課題まで幅広く取材を重ねるフードジャーナリストの東龍さん。飲食店だけに限定するのではなく、幅広い範囲で行動制限をかけ、それにともなう保障をきちんと差配していれば、飲食店だけがやり玉にあがることはなかったと続ける。
「飲食業界を見渡したとき、飲食店だけが優遇されていることも問題でしょう。生産者はもちろん、酒造メーカーや卸業者、仲卸業者などサプライチェーンへの保障も手厚くするべきでした」(東龍さん、以下同)