コロナ「協力金バブル」翻弄される飲食店の実情 飲食店と消費者の間に壁ができている
飲食店が休業すると、生産先や仕入れ先が在庫を抱え込むことになる。食材だけではない。飲食店でアルバイトをする従業員や、おしぼり業者なども苦境に立たされることになり、飲食業界の中で温度差が生まれてしまった。
何のために飲食店を開いたのか
そういった軋轢を生まないためにも、飲食店の中にはデリバリーやテイクアウトという形で食を提供しようと努力するお店もある。しかし、都内在住の30代女性はこう漏らす。
「応援したい気持ちもあるから買ってはいますけど、飲食店の役割って違くない? って思います。仕事で疲れてリラックスしたいとか、できたての料理を食べたいとか、何気ない会話を楽しみたいから、わざわざ割高のお金を払ってお店に足を運んでいるんですよ。
何かしら営業努力しているお店はまだいいけど、ずっと休業しているお店って、何のために飲食店を開いたんだろうって思います。そういうお店には行きたくないので、“うちはコロナ禍でも営業努力してました”とかわかるものがあったらいいのに(笑)」
こういった拒否反応を示す人は少なくなく、東龍さんも「お店を応援したい人と、冷めてしまう人の二極化が見られる」と危惧する。
「星付きの飲食店などが閉店するケースもあります。協力金が十分ではないことも原因のひとつですが、お弁当を作るためにお店を開いたわけではない、お客様とのコミュニケーションを楽しむことができないといったモチベーションの低下もあるようです」
実際問題として、飲食店が疲弊していることは間違いない。今年9月に帝国データバンクが発表した『新型コロナウイルス関連倒産』(法人および個人事業主)によれば、全2000件のうち336件と飲食店が業種別で最多。うち居酒屋が91件、バー、ナイトクラブが18件と酒類提供をメインとする業態が飲食店全体の3分の1(32.4%)を占めている。住宅街にあるようなバーやスナックは協力金で潤っているかもしれないが、繁華街の居酒屋やバーは青息吐息なのだ。