2大旅客機、ボーイングとエアバスの意外な違い パイロット視点で見たそれぞれの設計思想
「夢のジェット機727」とうたわれたボーイング727が活躍した時代は、アナログ機器が主体でした。それぞれのシステムは単独で完結しており、ほかのシステムとリンクできない分散型構造でした。
そのため、ノブを右(左)に回すと「右(左)旋回」、ノブを引く(押す)と「機首上げ(下げ)姿勢」、スイッチをオンにすると「高度を維持する」、といった単純な機能だけでした。727の操作パネルは、単純に「オートパイロットを制御する操作パネル」ということでオートパイロット・コントロール・パネルと呼んでいました。
727が就航してからは「ジェット化」を旗印に、空港や航空路などが一斉に整備されていきます。
そして、アナログとデジタルが混在する時代に現れたのが、「ジャンボ」の愛称で親しまれたボーイング747-200です。操縦装置はケーブル制御、INSは機械式ジャイロを利用というアナログ装置とデジタルコンピューターの組み合わせなので、航法精度としてはそれほど高くはありませんでした。
このような時代背景で活躍した747-200の操作パネルは、飛行モードを「選択」するパネルを意味するMSP(モード・セレクター・パネル)と呼んでいました。
その後、747-400を含め本格的なデジタル機になる777以降になると飛行モードを「制御」するためのパネル、MCP(モード・コントロール・パネル)に変更しています。
基本的な機能は747-200と大きな差はありませんが、航法精度は非常に高くなっています。また、性能管理が主な機能だったPMSからFMS(飛行管理システム)に発展しています。FMSはデータリンク機能を利用した最新の運航や性能などのデータベースを構築することにより飛行全体を管理する重要なシステムです。
どんどん簡素化されるエアバスの操作パネル
なお、ボーイングの大きな特徴は、デジタル機になってもスイッチやノブなどの位置により「飛行モードが直感的にわかるパネル設計」であることです。
一方、エアバスは操作パネルをA300からA340まではFCU(フライト・コントロール・ユニット)と呼んでいますが、A350以降になるとAFS CP(オートマティック・フライト・システム・コントロール・パネル)に変更しています。A310までのスイッチやノブは、ボーイングと同じように直感的に飛行モードが確認できる配置となっていました。しかし、A320以降になるとシンプルなパネル設計となっています。
例えばA350では、速度、方位、上昇/降下率に関するノブを押すと、表示が数値から「- - -」に変化します。これはFMSによる制御を意味します。そして、ノブを引くとパイロットが望む速度、方位、上昇/降下率でオートパイロットの制御が可能になります。
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