声で「信頼される人・されない人」の決定的な差 好印象を与える声のヒントは「赤ちゃん」にあり

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その、最も響きのある「本当の声」は、赤ちゃんの状態に戻ることで出ます。

発声に関して言えば、「赤ちゃんの泣き声」が理想的なのです。

私たちは生まれたとき、「オギャー!」となんとも大きく響きわたる声とともに、母胎からこの世界へと飛び出します。

このときの赤ちゃんのありのままの声は、クリアでストレート。はっきりくっきり、人の耳に届きます。電車の中だったら車両中に響きわたるほどです。

赤ちゃんの声が「いい」理由

なぜこんなに響くのかというと、赤ちゃんには無駄な力みがないからです。

寝返りもできない生まれたての赤ちゃんは、人間の体にとって最もリラックスできる、力が抜けたあおむけの姿勢になっています。

この姿勢は体に負担がかからないので、呼吸筋や喉の筋肉が最大限に働き、喉が十分に開いた状態です。だから、よく響く声が出せるのです。

また、あおむけで寝ている赤ちゃんの場合、横隔膜にも負担がかかりません。

横隔膜とは、肺の下にあるドーム状の筋肉で肺を動かす器官のこと。この横隔膜は、人間が直立していると重力で他の器官に圧迫されます。そのため動かすのに少し力がいるのですが、横になっているとその重力が軽減されるため、より深い呼吸がラクにできます。よく響く声には、豊かな呼吸が必要なのです。

横になっている赤ちゃんは、無意識のうちに横隔膜を柔軟に使うことができるので、吐く息が力強くなり、大きい声が出るのです。(和田美代子著/米山文明監修『声のなんでも小事典』講談社)

赤ちゃんが泣く大声が、あたり一面に響きわたるのは、こんなふうにリラックスして体中から声を発散しているからなのです。

赤ちゃんのようになんの力みもない、ありのままの自分の声。この声こそが、その人がもっている「本当の声」です。これはつまり、誰でもよく響くいい声をもっているということでもあります。

みんな生まれたときは、この自分本来の声からスタートしています。

ですが、成長するうちに、私たちの声にはさまざまな理由で抑制がかかります。

騒いじゃダメ。変なことを言っちゃダメ。笑われないように。なるべく他の人と同じように……。

いうなれば社会性を身につけていくわけです。

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