イスラエルの調査で判明「ブースタ接種」の難題 感染予防の底上げ効果は高齢者で数週間

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ブースター接種が科学的に難しい問題となっているのは、1つには「感染予防」と「重症化や死亡の予防」という目標の間に極めて大きな違いがあるためだ。

体内の最前線で感染を防ぐのが抗体だが、科学者によると、長期にわたる感染予防効果をワクチンで確実に得られる可能性は低い。というのは、ワクチンが人体を刺激することで産生される抗体は時間の経過による減少が避けられないからだ。

ただしワクチンによって作られた細胞性免疫は、重症化や死亡を防ぐのに極めて強力な武器となる。細胞性免疫に書き込まれた「免疫記憶」は、効果が表れるまでに数日を要するものの、しっかりとした効果が何カ月にもわたって維持される。

終わりなきワクチン接種から抜け出せなくなる

この点にこそブースター接種の問題がある、と一部の科学者は指摘する。入院や死亡を防ぐ道具なら、すでに手元にある。しかし感染予防を目指すとなれば、その国はブースター接種の終わりなきサイクルから抜け出せなくなる。

「本当に感染予防を目標にするなら、半年ごとのブースター接種が必要になるだろうが、非現実的だし達成も不可能だ」と、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の感染症専門家ピーター・チンホン氏は話す。

自身がこれまでに病院で実際に目にしたワクチン接種済みの患者たちは、免疫機能が弱っている人か、持病のある70歳以上の高齢者ばかりだった、とチンホン氏は付け加えた。

ブースター接種が必要な理由として、ファウチ氏をはじめとする保健当局者は、あらゆる年齢層で接種者が重症化するケースが増えているというイスラエルのデータを引き合いに出していた。ただ、すべての年齢層をひとまとめにすると、統計上、重症化率が膨らんで見えることがある。

実際、イスラエルの統計を年齢別に分解してみると、重症化の予防に対するワクチンの有効性の低下がはっきりと見られたのは60歳以上だけだった、とニューヨークのベルビュー・ホスピタル・センターの感染症専門家で、バイデン政権の顧問だったこともあるセリーヌ・ガウンダー氏は指摘する。

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