知人からの「嫌な依頼」をトラブルなく断る方法 「言いにくいこと」をつい抱え込んでませんか?

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ビジネスだけでなく、プライベートでも地区の役員や、PTAの係などをお願いされる場合もよくあります。

このようなときも曖昧な返事は厳禁です。「迷っているだけだ」と思われると、必ず相手は押してきます。できない理由をはっきりと伝えましょう。

「NO」を言うことにためらう必要はありません。逆にこちらの気持ちをはっきり伝えるほうが、その後の人間関係にとってプラスになるはずです。

ただ、「NO」と言いたくても、時として、相手の勢いに押されて、「YES」と返事をせざるをえなくなる場面はあるものです。

相手の勢いが強いときは、そこから一時的に距離を置くことが最善です。

「少しお時間をいただけますか。○日までには返事を差し上げます」

と伝えるのが無難です。

周りがOKと言っているときに、自分だけがNOと言うのが気まずい、という人の場合も、勢いに負けてついついYESと言ってしまうことがあります。

すると、その後、1人で悶々とどのようにしてキャンセルしたらいいかを考え、悩み続ける羽目になります。

そうなる前に先手を打って一呼吸を置くようにしましょう。それからいつまでに返事をするかを相手に伝えます。自分が冷静になれる程度の時間を空けてください。

目上の人にも使える「うまい言い方」

相手が目上の人だったり、重要な取引相手だったりすると、頼み事をなかなか断りにくいケースがあります。このようなときは自分以外の人を使って断る方法がおすすめです。

『困ったときの言いかたルール:「言葉選び」「タイミング」「心くばり」』(三笠書房)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

例えば、次のような言い方です。

「私一人の判断では荷が重すぎますので、社に帰り、上司と相談のうえ、返事をさせていただければと思います」

「この案件は私の裁量だけで決めることはできませんので、上司ともども充分に検討して、返事をさせていただきます」

この場合、実際に自分に裁量があってもなくても使って構いません。すぐに断ると相手に失礼になると判断した場合、口実として使ってもいいと思います。相手も言われたからといって嫌な気持ちにはなりません。

本当に荷が重い場合はもちろんのこと、ビジネスでの駆け引きではこのような言い方をよく使います。

相手の勢いが強い場合、本当に迷っている場合、一時的に時間を作りたい場合、すぐに断ると失礼な場合。まさにいろいろなパターンに応用できる方法です。みなさんも断る言い方の1つに加えてみてはいかがでしょうか。

言いにくいことを伝えなければならない場面は、日常、ビジネスで多々起こることです。そんなときに拙著「相手に納得してもらえる言葉」「関係を崩さずに受け入れてもらうフレーズ」など、言いにくいことを伝えるコツを満載した『困ったときの言いかたルール:「言葉選び」「タイミング」「心くばり」』を参考にしていただけると幸いです。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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