次期総理に伝えたい「世界標準の財政政策」の正解 ケチにも浪費にもならない「賢い投資」が常識

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縮小

2060年までに、日本人の人口はピーク時から、約3000万人減ると予想されています。他の条件を維持した単純計算では、需要の減少は90兆円にのぼります。乗数効果もありますので、経済への縮小圧力はもっと大きくなります。財政出動派は、現状維持するために、政府が毎年この90兆円分を穴埋めしろと言っているでのしょうか。

単純な財政出動派がしている誤解を、あえて単純なたとえ話で説明すると、以下のようになります。

ある企業には年間100台の車を生産する能力があります。その車は10年間乗れるので、一度買った人が買い替えるまで10年かかります。そのため、毎年100台の車を消費してもらうためには、1000人の消費者が必要になります。

ある時から、年間90台しか売れなくなりました。需要が足りないので、企業は価格を下げます。当然、デフレが起こります。

ここで、単純な財政出動派は、政府がお金を出せば需要が喚起されて需要がもとの100台に戻り、デフレが解消すると論じます。まぁ、なんとなく理屈が通っているように聞こえなくもありません。

1000人の人口のままで、ただ単に買う気持ちか買うお金がなくなったために買っていないのならば、政府がお金を出せば、確かにもとに戻ります。

しかし、90台しか売れなくなった原因が、実は消費者が900人に減ってしまっていたことだったらどうでしょう。毎年90台しか売れないのは、お金がないからではありません。これでは、政府がいくらお金を出しても需要は100台に戻らないので、デフレは解消されません。

なお、この企業が元の100台の供給を維持したいならば、10台を海外に輸出するという選択肢があります。一方、売上を維持したいならば、従来の100台を90台に減らして、より付加価値の高い車を開発したり、他の成長分野に投資するしかありません。

財政出動だけで日本経済は回復するか

単純な財政出動をインフレになるまで続けるという主張の根幹には、MMT理論があります。この理論では、一定のインフレ率を超えない範囲内でなら、いくら財政赤字を拡大させても問題ないとされます。

問答のようになりますが、このMMT派の人に、いくつか質問したいと思います。

財政出動をすると、空き家はなくなるのでしょうか。財政出動をすると、人口が減っていく分を補うくらい、国民はお米をたくさん食べるようになるのでしょうか。財政出動をすると、団体客をターゲットに建てられた昭和の旅館にお客さんは戻りますか。財政出動をすると、和服や工芸品の需要は大きく増えるのでしょうか。従来のビジネスモデルが人間の数に依存している飲食、宿泊、娯楽、美容院、商店街、アパレルなどはどうですか。

MMTはアメリカ発祥なので、アメリカ経済を理論構築の基準としています。アメリカは継続的に消費者が増えているので、仮に短期的に供給過剰になっても、時間がたてば解消されます。

政府がお金を出せば、供給過剰をより早く解消できるというのが、MMTの出発点です。つまり、買ってくれる消費者が常に潜在しているので、その人たちに十分なお金が渡れば、ものが売れ経済が成長するという論理なのです。

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