次期総理に伝えたい「世界標準の財政政策」の正解

ケチにも浪費にもならない「賢い投資」が常識

もちろん財政出動をした年だけを見れば、景気の刺激策になります。それは事実です。しかし、財政出動の効果が持続性のあるものではなければ、その影響もすぐに消えてしまいます。すると、翌年にはまた財政出動が必要となります。

財政出動とGDPの動向から、日本の今までの財政出動は持続的な経済成長にはつながっていないと断言できます。持続性の低いバラマキでした。GDPだけでなく、平均給与も上がっていません。

スタグフレーションではありませんが、財政出動してもケインズ経済学どおりの結果を得られなかったのは事実です。

その波及効果まで含め、最終的に最初の財政支出の数倍の効果が出ることを、経済学では「乗数効果」と言います。1990年代からの日本の財政出動は、この乗数効果が低いものだったので、経済の回復につながっていないのです。2000年代に入ってから社会保障の負担が増えていきましたが、社会保障も乗数効果が低いことには変わりありません。

「消費税を引き上げたから持続性がなくなった」と反論する人がいるかもしれませんが、2020年度の消費税の総額はわずか21兆円にすぎません。550兆円のGDPを誇る日本経済が失速し続けていることの説明要因としては、まったく不十分です。

日本のデフレは供給側の要因が大きい

インフレ率が2%になるまで財政出動を継続すべきと主張する人は、なぜか日本経済の低迷の原因やデフレの原因のすべてを総需要側、特に緊縮財政政策にのみ求めています。これには大きな違和感を覚えます。

一般的な経済学の教科書では、供給側のデフレ要因として以下が考えられるとされています。

(1)石油価格などの低下
(2)円高
(3)技術革新
(4)生産性向上
(5)過当競争
(6)過剰供給

上で紹介した「供給側のデフレ要因」のうち、たしかに(1)はありません。(2)はアベノミクスの結果、是正されました。(3)と(4)は関係の強い要因ですが、日本の生産性は低迷していますので、デフレの要因としては非常に弱いです。

次ページ(5)と(6)は検討が必要な重大問題
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