郵便局が「地方銀行」を買収し成長するシナリオ

最近の決済事情から見えてくる銀行の将来像

金融政策や決済インフラの整備により、銀行業も変化の時を迎えている(写真:Ryuji/PIXTA)
銀行が大きな変化を余儀なくされている。銀行に長年勤務し、これまでに全国銀行協会の委員などを歴任。さらには金融庁の委員会などで金融行政に関わる数多くの提言を行い、近著『決済インフラ入門【2025年版】:スマホ決済、デジタル通貨から銀行の新リテール戦略、次なる改革まで』を上梓した宿輪純一氏が、最新の決済動向から見えてくる銀行の将来像と、金融インフラのあるべき姿について解説する。

銀行は構造不況業種

残念なことであるが“銀行業”は構造不況業種になってきているようである。支店の大幅な削減が進行中である。当面の目標としてメガバンクは4割、地方銀行は2割の支店が削減される。ATMも同様に削減される。

『決済インフラ入門【2025年版】:スマホ決済、デジタル通貨から銀行の新リテール戦略、次なる改革まで』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

銀行の経営悪化の主たる原因は、金融政策として行っている“超低金利”のためである。銀行業には固有業務として、預金・貸出(預貸)業務と為替業務がある(ほかにも付随業務がある)。とりわけ預貸業務の収益が、超低金利のために低下した。このマイナス金利まで含めた超低金利は長期化しそうで、半ば常態化している。短期的な問題ではなくなっている。

またもう1つの固有業務「為替業務」であるが、例えばこの分野は、ネット銀行を中心として、振込手数料の引き下げ競争がたけなわである。そもそもこの為替(決済)分野であるが、顧客にとって商売・信用、つまりは経済の根幹の根幹をなす。

とくに国内為替(振込)の部分の銀行協会を中心とした決済システムの発展は著しい。今や日本では、振込ではほとんどの銀行に“瞬時”に入金され、引き出しも可能である。これは全国銀行協会が運営する「全銀システム」という決済システムによって可能になっている。このような対顧客の高度な決済システムはほかの国にはない。

この銀行協会が運営する「全銀システム」に関しては、銀行の損得でなく、機能を共通化し決済システムを強化していったのである。これは日本の銀行は、先にも述べたが為替(決済)の重要性を十分理解し、また銀行の公共サービスとしての使命を果たそうとしているためである。

そのためとくに為替(振込)業務に関しては、ほとんどの銀行で差がない。すなわち、経営上の強みとすることは難しく、収益の柱とすることも難しい。

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