郵便局が「地方銀行」を買収し成長するシナリオ 最近の決済事情から見えてくる銀行の将来像

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金融(Finance)とIT(Technology)の造語(合成語)でフィンテック(Fintech)という言葉がある。経済産業省が担当した「キャッシュレス」政策の根幹をなす部分である。日本は現金の使用が多く、それが非効率で生産性を押し下げているという考え方に基づいている。

またフィンテック、キャッシュレスとは、突き詰めて言うと「スマホ決済」のことである。マスコミなどもよく間違っているが、スマホ決済という「決済手段」はない。キャッシュレス政策を進めるときに、筆者も参加して制定した資金決済法にもあるが、決済手段としては、①前払い式支払い手段(電子マネー)、②同時式支払い手段(デビットカード)、③後払い式支払い手段(クレジットカード)がある。

いわゆる「スマホ決済」といわれているものは、前記の3つの決済手段のどれかに当たる。「スマホ」は正確には、単なる決済を行う「媒体」にすぎないのである。

また、スマホ決済の代表的なサービスである「~Pay」というものはほとんどが電子マネーで、資金決済法によって「資金移動業者」という新業態を作った。しかしこの分野は、収益性はそれほど高くなく、銀行は当初より本格的な参入はしない予定であった。この「~Pay」という新たな決済インフラは、銀行の決済(為替)業務をさらに弱めることになる。

銀行のATMも導入が進んだが、コンビニエンスストアとともに「コンビニATM」といわれる業態が伸びている。ATMの手数料収入は銀行業界を支えるほどには大きくない。ATMは基本的には“現金”の利用がベースとなっている。そのため、キャッシュレスが進んでいくとATM業務も縮小していくことになる。未来永劫に続くビジネスではない。

郵便局による地銀の統合

現在、地方銀行はちょうど100行ある。最近の再編の動きは、2020年9月に、菅首相(当時官房長官)が「地方銀行の数が多すぎる」と発言したのがきっかけだ。バブル崩壊前まで、メガバンクは13行あったが、最近までに4行に減っているが、地銀の数は2割程度の削減にとどまっている。

先にも述べたが、再編とともに支店数の削減も行われている。支店の削減は「統廃合」という形で行われている。とくに地方の場合であるが、銀行がなくなってしまうこともありうる。その場合、現在の方向性であるが、なんと「一般企業」に「銀行代理業」の免許を取得してもらい、顧客も含み銀行業務を引き継ぐという方向に進んでいる。しかし、筆者は、銀行業務を一般企業に引き継ぐことには無理があると考える。

それならば、ゆうちょ銀行という銀行の業務を行っている郵便局/JPグループが引き継ぐ(買収する)ほうが無理がなく展開しやすいということを、筆者はJPグループや所管官庁にもすでに提言している。人員や建物や手続きも含め、自然な感じで業務に取り込むことができる。銀行はそのようなことはよくある。

ゆうちょ銀行とすれば、そのエリアの地方銀行や信用金庫を統合し、その貸し出しを吸収することによって、悲願の法人貸し出しを無理なく開始することができる。

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