スティッチ、シニアの孤独はこう解決する! シリコンバレーの注目イベントで光った企業

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ダウンリング氏がタペストリーの事業を通じて気が付いたのは、「高齢者の最大の関心事は気の合う人と過ごすこと」ということだった。サンフランシスコ近辺でシニア世代を調査していたときに、「この辺りで同世代の独身を知らないか」と頻繁に聞かれたからだ。ダウリング氏に言わせれば、シニアが直面する孤独は「肥満などの健康と同程度か、時にそれよりも大きな問題」だという。

たとえば、サンフランシスコに住むエドワードさん(仮名)は長年務めたバイオ企業を退職した71歳。妻をガンで亡くし、息子は現在ブラジル、娘夫婦は上海に住んでいる。サンノゼに住むジェニーさん(仮名)はサンフランシスコの商工会議所で働いていたが、離婚して今は独り身の80歳。2人の娘はともにカリフォルニア州外に住む。彼女は数年前から車いすの生活になり「自由に動けなくなってから、人と会うことが減って牢屋に閉じ込められたような気分」と落ち込んでいる。統計では50歳以上の米国人夫婦の4組に1組は離婚している。結婚生活が続いていたとしても、伴侶を亡くしたり、子どもが仕事などで遠くに引っ越したりして一人暮らしになるケースは少なくない。

 マードック氏も興味津々?

年を重ねるにつれ体の自由がきかなくなり外出が少なくなると、行動範囲や交友関係も狭まっていく。介護施設に入れば同世代との出会いもあるが、入居費が高いなどの問題もあり、現在でも米国の高齢者の9割が自宅に住んでいるとされる。

自身が経営するニュースコーポレーションがスティッチの入居するワークスぺースを運営していることもあって、ルパート・マードック氏(写真中央)がオフィスを訪れたことも

また、国土の広い米国では自動車は必須だが、高齢化につれて運転も不自由になってくる。こうしたさまざまな要因から、孤独に陥る高齢者は少なくない。「特に介護施設に経済的な理由から入れない高齢者たちは、独りぼっちになりがちだ」とダウリングは話す。こうしたシニア世代の孤独を少しでも解消したいと、今年3月に立ち上げたのがスティッチだ。

創業から半年弱ですでに3000人以上がユーザーとなっている。会員の年齢層は50~80代まで。離婚係争中で、80代迎えているメディア王ルパート・マードック氏も先月、スティッチの本社を訪れダウンリング氏の話を聞いたという。

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