アフガン撤退の米国、東南アジア外交のちぐはぐ インドネシアを回避、その真の狙いは何なのか

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カブール陥落9日後の8月24日、カマラ・ハリス氏がアメリカの副大統領として初めてベトナムの首都ハノイに降り立った。両国にとって過去の記憶が蘇る、間の悪いタイミングの訪問となった。

ベトナム首脳との会談後の記者会見でハリス氏は、1995年の国交回復以来の米越関係の進展を強調。コロナワクチン供与や温暖化対策について話し合ったとしたうえで、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)についてのアメリカの考えを再確認するとともに、ベトナムに対する高レベルの安全保障上の協力を続けること、航行の自由とルールに基づく国際秩序を守るため脅威に対抗することを誓った」と話した。

ハリス氏はサイゴン陥落に言及せず

これは南シナ海の領有権問題で対立するベトナムと中国、双方へ向けたメッセージである。会見ではアフガン撤退についての質問が続いたが、ハリス氏は「アメリカ国民の救出に全力を尽くす」と公式見解を述べるだけで、46年前のサイゴン陥落に触れることはなかった。

ほとんどが国営であるベトナムメディアもアフガン撤退と絡めたり、サイゴン陥落に触れたりする記事を掲載・配信することはなかった。

8月19日のベトナム外務省定例会見で、副報道官は「1975年の歴史的勝利はベトナムにとって新しい章を開いたものであり、その勝利の歴史的な意味は議論の余地がない」「アフガニスタンに安定と平和が戻ることを望む」と答えただけだった。

中国と対峙するうえで旧敵アメリカとの関係強化に腐心するベトナム政府としても、カブールやサイゴンの陥落は触れたくない話題だったのであろう。アメリカ国内でもアフガン関連のニュースに押され、副大統領のアジアデビューはホワイトハウスが期待していたほどのインパクトを残せなかった。

アフガン撤退の理由としてバイデン政権は「中国との戦略的な競争に資源を集中するため」と説明してきた。ハリス氏のベトナム訪問もその一環と言えるが、視点を広げて東南アジア全体を見渡せばアメリカのちぐはぐな対応が目立っている。

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