アフガン撤退の米国、東南アジア外交のちぐはぐ インドネシアを回避、その真の狙いは何なのか

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南シナ海をめぐっては、トランプ前政権に続き、閣僚らが中国の横暴や国際法違反を非難する言葉を連ねている。軍艦を海域に送り込む「航行の自由」作戦は、イギリスやドイツ、フランスなどヨーロッパの同盟国を巻き込んで時折実施している。

しかし中国と隣接し、FOIPの対象地域となるはずの東南アジアにアメリカが外交上の重きを置いているようには見えない。東南アジア諸国連合(ASEAN)各国もそれを感じて鼻白んでいるふうなのだ。

バイデン大統領自身が登場する機会はまだないし、欧州や中東を頻繁に訪問するブリンケン国務長官も東南アジアには足を踏み入れていない。

訪問先はなぜかシンガポールとベトナム

5月下旬、ブリンケン長官は中東へ向かう専用機からオンラインでつなぎ、ASEAN各国の外相と会議を開催する予定だった。しかし、機体の通信回線が不調で外相らを長く待たせた挙句、中止となる失態を演じた。

バイデン政権発足から半年以上経った7月下旬、オースティン国防長官が閣僚として初めて東南アジアに足を踏み入れ、シンガポール、ベトナム、フィリピンを歴訪した。続く副大統領の訪問先もなぜかシンガポールとベトナムだった。

国防長官のマニラ訪問は目的がはっきりしていた。ドゥテルテ大統領がいったん宣言した訪問米軍地位協定(VFA)の破棄を直談判で撤回させることだった。

アメリカの政権幹部が東南アジアに出向く機会はさほど多くない。にもかかわらず、1カ月の間に副大統領と国防長官が同じ2カ国を訪問してそれぞれ儀礼的な挨拶をかわす一方、ASEAN主要国のインドネシア、タイ、マレーシアは訪れなかった。

タイは2014年の軍事クーデターを主導したプラユット氏がそのまま首相に居座り、マレーシアは政局のごたごたが続いて首相がムヒディン氏からイスマイルサブリ氏に交代したばかりという事情があった。解せないのはASEANの盟主を自認するインドネシアを外していることだ。

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