アフガン撤退の米国、東南アジア外交のちぐはぐ インドネシアを回避、その真の狙いは何なのか

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カブールの空港で国外退避のためにアメリカ軍輸送機に乗り込む人々。アメリカ海兵隊提供(写真:AFP=時事)

アフガニスタン・カブール空港で、車輪にしがみつく人々を振り落としながら離陸するアメリカ軍機の動画は世界に衝撃を与えた。20年にわたったアフガン戦争終結の歴史的場面として、同時代の人々の記憶に長くとどまるだろう。

「アメリカは逃げ出す」「アメリカ軍は強くない」

多くの人がそう感じたはずだ。

既視感にとらわれた東南アジアの国々

アメリカに安全保障をゆだねる国は「明日は我が身」との危惧を抱き、敵対する国は「そら見たことか」と留飲を下げる。そんな中で強いデジャヴ(既視感)にとらわれたのは東南アジアの国々だ。

46年前の1975年、北ベトナム軍の侵攻で、アメリカの支援する南ベトナムの首都サイゴンが陥落した。アメリカ大使館の屋上から館員らがヘリコプターに乗って逃げ出す光景は鮮烈だった。

カブールでもアメリカ大使館から逃避する人々を運ぶヘリが空を舞った。バイデン大統領が7月、「アフガニスタンのアメリカ大使館の屋上から退避する状況を見ることはない。ベトナムとは違う」と断言していたにもかかわらず、だ。

ベトナム戦争では、サイゴン陥落の2年前に結ばれたパリ協定によってアメリカ軍はすでに撤退していたが、アフガンではアメリカ軍が駐留する中でイスラム主義勢力のタリバンに首都が制圧された。「あてにならないアメリカ」は今回、より鮮明に可視化されたといえる。

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