西武園「わらしべ作戦」で狙う遊園地「世界一」の座 西武HD後藤社長✕刀・森岡CEOスペシャル対談2
森岡:最後の課題は100億円という予算設定。最終的には後藤さんの意図を理解させていただき、後藤さんに「100億円でいくべきだ」と申し上げたとはいえ、先ほどの2つの課題を克服するには予算が少なすぎる。既存の施設を改修するにしても100億円では足りない。パークの顔がない問題。所沢までの精神的、物理的距離の問題、そして予算の問題。この3つが課題ということになる。
もっとも、こうした問題は程度の差があれどんなビジネスにもつきものだ。私は目的が正しいのであれば、その目的が達成できるかどうかにはあまり頭も時間も使わないことにしている。悩むのは時間の無駄。目的が正しいならやるしかない。
規模相応の投資でビジネスを再生する
――「目的が正しい」とは?
森岡:西武園ゆうえんちのプロジェクトは、単に古くなった遊園地を再生させるサクセスストーリーというだけでなく、事業体の規模に相応の投資を行って、はたしてビジネスが再生するのかというケーススタディでもある。
集客で困っている遊園地は全国にある。遊園地などの大きな集客施設だけではなく、花屋さんのような個人商店にも当てはまる。自分たちが使えるキャッシュは毎月十数万円しかないのにお客様を増やさなくてはいけない。事業体の規模に合わせた投資を行うことでビジネスを復活させるという今回のプロジェクトが成功することによって、多くの方々に勇気を持ってもらえるという目的設定もあった。
刀は地方創生を事業方針の1つに掲げている。埼玉県は首都圏に属しているが、東京から所沢を見た場合には、今回のプロジェクトは地方創生の意味合いも出てくる。所沢という土地を活性化させるためには多くの人が集まる集客施設が非常に重要な意味を持つ。今は埼玉西武ライオンズとメットライフドームが孤軍奮闘しているが、そこに西武園ゆうえんちも加わって、相乗効果で所沢をすてきな土地に変えていかなくてはいけない。西武園ゆうえんちに人が集まれば、地域の飲食、物販などさまざまなビジネスがうまく回るようになる。
もう1つだけ付け加えると、後藤さんは常々「日本人がみな下を向いているので、もっと喜んでもらいたい」「出かける人をほほ笑ませたい」とおっしゃっている。人々の笑顔を作るこの事業は日本を元気にすることでもある。エンターテインメントならではの特性だ。これだけの目的が設定されているのに、「やらない」と言ったら、もう「刀」じゃなくて、「なまくら」とか「へなちょこ」に社名を変えなくてはいけない。
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