西武園「わらしべ作戦」で狙う遊園地「世界一」の座 西武HD後藤社長✕刀・森岡CEOスペシャル対談2
後藤:私が森岡さんとしたお話の中でいちばん印象に残っているのは、われわれ西武グループのマーケティングとしては西武鉄道沿線という発想で市場規模を考えてきたが、森岡・刀チームは首都圏全体、関東一円をマーケットとして捉えて、首都圏で戦える遊園地にするという発想だった。そういう発想があるのかと驚いた。これは目からウロコだった。どうしてもわれわれは西武鉄道沿線という発想が先になってしまうのだが、彼はそうではない。
テーマパークをフックにして地方を活性化させるという森岡・刀チームの大義にも共鳴している。西武園ゆうえんちだけ成功したらそれでいいというケチな発想でいたら、森岡さんは「辞めさせてもらいます」と絶対言うよね。日本全体を元気にするような1つのモデルケースになってほしい。
夕日の丘商店街とは少し時代が違うが、昭和の終わりから平成にかけてのバブルのピークは諸悪の根源みたいに言われるが、私は日本人が自信を持って世界に飛び出していった時代だと思う。実際、あの時代にいろいろなイノベーションが日本から生まれた。私自身も仕事が楽しかったし、世界に打って出るんだという自信があった。そのような「時代の活気」を今の若い人たちに注入したい。出かける人にほほ笑んでもらうことは西武グループのスローガンでもある。いろいろなプロジェクトで、元気、ほほ笑みを生み出していきたい。
投資資金の調達はどうする?
――「ゴジラ・ザ・ライド」と「夕日の丘商店街」に加えて、あと1つか2つ新しいアトラクションがあると西武園ゆうえんちは盤石なものになると思います。予算との兼ね合いもあるでしょうが、さらなる新アトラクションの導入は検討していますか。
森岡:船出は大成功だったが、そのあとも先の先まで計画している。まだ話してはいけないことばかりなので、しかるべきタイミングで西武園ゆうえんちのみなさんから発表してもらうことになる。
――西武グループの経営がコロナ禍で苦境にある中、導入のための投資資金はどのように調達するのですか。
森岡:新たな投資は事業が生んだキャッシュを原資にやっていく。だから最初の投資可能な金額は小さいかもしれないが、「わらしべ長者」のように少しずつ大きくしていく。USJだって最初から大型のアトラクションに何十億円も使う予算はなかった。最初はシャボン玉のパフォーマンスで集客をしていた。稼いだお金で既存のアトラクションを改装して、稼いで貯めて、稼いで貯めてを繰り返し、最後にハリー・ポッターにどーんとつぎ込んだ。西武園ゆうえんちもこの夏は花火で勝負しているが、これも設備投資はせず営業費用で集客している。
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